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製作国
タイ
監督
チャリット・クリリードモンコ
出演者
ゴルフ・ピチャヤ・ニティポーサンクン
ファン=タナントン・ニーラシン
スパチャ・スワノン
ジーナ・デソーザ
今回はタイ産モンスター・パニック映画リザード(原題:Leio)の感想。
ちょっと人間ドラマの配分が多かった気がしますがお国柄的にはなかなか見る機会が少ない映画。
モンスター・パニックとしては押さえるところは押さえているので、十分に見れる映画だとは思いますよ。
ジャンルはアクションアドベンチャーで上映時間は約108分となります。
目次
あらすじ
人気ラッパーのカオは祖父の葬式で故郷に帰ってきた。彼の故郷は常に水不足に悩まされていたが、同郷の女性YouTuber・フォンが街を活性化しようと、地下水を掘削(くっさく)するコンテストを開催する。カオとフォンは幼馴染で互いに恋心を抱きつつ離れた間柄だ。地下水発見者には優勝賞金1,000,000バーツが提供される事もあり、多くの人々が参加した。経済的に厳しいカオも賞金目当てにコンテストに参加、しかしイベントが始まると次々と参加者が失踪する。やがてコンテストは地下に潜んでいた巨大生物により大パニックとなっていく・・・
Rakuten TVより
リザードを配信している配信サービス
※2023年5月27日時点
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登場人物
・カオ
元人気ラッパー
カオのレーベルを離れようとしたところ陥れられて麻薬使用で逮捕された
両親の代わりに育ててくれた祖父ウットの死を知り葬儀のために久しぶりに村へ帰る
フォンが企画した村の水源発掘の企画に参加する
・フォン
カオの幼馴染で人気YouTuber
カオとはウットの葬儀で久々に再会した
村のために100万バーツを賞金に水源発掘の企画を立ち上げる
・ジェーン
カオのいとこ
フォンの水源発掘の企画にカオとヨーと共に参加する
・ヨー
ウットの仕事の相棒だった男
カオのファンでお調子者
フォンの企画にカオとジェーンと共に参加する
ウットには決まった時間に薬を与えるなどいい相棒だった
・ウット・ティ・チャイ
カオを亡くなった両親の代わりに育てた祖父
トゥン・タワン・ヤン村のみんなからは尊敬されていた
カオのメダルの授賞式に来なかったことで彼とは疎遠となっていた
・ミー親分
掘削業界の大物
フォンの企画に賞金と彼女目当てで企画に参加する
ハイテク装置や爆弾を持っており優勝に最も近い男
流れは王道なモンスター・パニック
砂漠を縄張りに定期的に人をつまみ食いしてきた巨大生物が掘削作業により大暴れするというモンスター・パニックな本作。
この流れで勘違いしてはいけないのが掘削作業によって目覚めた巨大生物ではないということ。
普通なら古代の生物が掘削作業によって目覚めて自然に対する人間のエゴを叩きつける話になるでしょうが、本作は違います。
巨大生物は最初から目覚めていて人食ってますし、本来の水の流れを堰き止めている側なので寧ろ自然環境の破壊者かもしれません。
そしてその巨大生物の正体はというとタイトル通り巨大トカゲ。いや、本当にデカいだけのトカゲです。
動きや生態は別として、見た目の造形はただのトカゲです。(強いて無理やり特徴を言えば某狩りゲーのあれから恐竜要素抜いた感じ)
途中の動きで可愛さすら感じる。
そんな見た目の特徴はない巨大トカゲですが、映画内での掴みは個人的に完璧とも言える掴みを見せてくれました。
罠で小さなトカゲを捕まえた男達に襲い掛かり、その内1人がバイクで逃げようとしてエンジンを掛けて逃げるのに成功したと思ったところで…
男は座った姿勢のまま宙に浮きバイクだけが走り去る、その真実はトカゲに手で掴まれていたからと。
これはギャグとトカゲの巨大さを両立するいい掴み。しかも食べるのではなく手で掴んで巣に連れ帰るという知性も感じさせると、
これから起きるモンスター・パニックに色々な意味で十分な期待を持たせてくれる冒頭の掴みでした。
手で掴んだだけにね。
それ以降は合間合間で人を襲うのですが姿をあまりはっきりとは見せないまま本格的な活躍は中盤以降となってしまうのは少し残念なところ。
この中盤までは人間の話が多めですが花形の食われる人間の掘り下げではなくメタ的に保護されている主人公周りの話なので、人が食われた時に悲壮感や爽快感に繋がらないのが勿体無いところ。
といってもこんなんB級あるあるなんでこれくらいでガッカリとまでは行くわけないんですが。
ただ姿を現してからは結構人もトカゲもはっちゃけてくれるので楽しいですね。
特に地面から出ようとしているトカゲを見てミーが語るデカい虫が人を食う映画を見たという絶対トレマーズじゃんな台詞とかニヤリとしてしまいますね。
タイでもトレマーズは有名なんですなぇ。
ちゃんと姿を現してからはそれまでボカシ気味だった人を襲う描写も、
真っ二つにしたり腕を千切ったりしっかり食べてるところ写したりとちゃんと描写してくれるようになるので、
途中までそこら辺で不満抱えていても応えてくれる作りになっています。
大きさがやや可変気味だったりしますがそこら辺はご愛嬌、モンスター・パニックとしては必要なものは十分取り揃えている内容にはなっていましたね。
祖父の影響強すぎな人間ドラマ
人によって賛否分かれやすいモンスター・パニックにおける人間ドラマの割合、本作はまぁまぁの尺を人間ドラマに割いております。
そしてその中心は主要人物にとって重要な存在となる村のみんなから尊敬されていながらも亡くなったカオの祖父ウットが中心となっております。
この亡くなっているウットに色々な方向から導かれる内容なんですね。
主人公のカオは村を見捨てて外に出て人気ラッパーになっているのですがその見捨てた理由というのが祖父との確執が原因。
そしてその確執の原因というのが子供の時のメダル授賞式に祖父が来なかったこと。
両親を亡くしていて祖父が親代わりだったカオにとってこれは自分が見捨てられたと感じてしまったわけです。
事情を鑑みてもそんなことで?なんて感じる人もいるでしょうが、
世の中子供の頃に親を含む大人がそんな気もなく何気なく言った言葉や行った行為に傷付き、いつまでもしこりとなって残っているなんてままよくあることですし、
カオにとってはこの出来事がそうだったということなんでしょう。
そんな祖父ウットが亡くなったことで久し振りにカオが帰郷しみんなが集まり、
そしてウットの意志を継ぐために幼馴染のフォンが水源掘削の企画を立ち上げるという流れなんですね。
そこからも大体ウットに導かれるようなお話です。中々見つからない水源も彼の車の中に残っていた幼少期のカオのメダルの側にあった地図から水源と思わしき洞窟を見つけますし、(ついでにトカゲの巣です)
果てにはラストでウットの車のナンバープレートでロトが当たるというこれは完全に導かれていますね。
祖母の影響力が強かったトジコメくらい影響力が強い。
【映画】抜け出すべきは部屋のみにあらず トジコメ ネタバレあり感想ただ逆に言うとウットの影響が強すぎて主要人物達の掘り下げというのが乏しいところが欠点でしょうか。
基本的にウットの影響だけで行動も心情も動いているんですよね。
例えばカオの授賞式に出れなかった真実はフォンを助けていたからということが分かってそこからカオも演説などでウットの言葉や姿勢を借りたりするんですが、やはりこれもウットの影響ありきなんです。
でもまぁ、
どんな問題も解決できる
あきらめずに答えを探せ
どんなモンスター・パニック、どんな作品にも大切なこの言葉を遺されて、それを前提に動くんであればこうなるのも致し方ないのかもしれません。
実際これで掘削作業者みんなが奮起して協力して巨大トカゲに挑むという明確な見せ場にも繋がったので。
個人的な意見を言うと折角カオが故郷を捨てて人気ラッパーになりその後、嵌められて堕ちたという設定なのですから、単純に祖父だけの影響で行動や演説をするのではなく、
ラッパーとして1人でやってきた暮らしで手に入れた価値観と祖父の価値観を合わせて、祖父の言葉を借りるだけじゃない自分なりの答えや演説を見せて欲しかったかなと思いました。
本編だけだと人気ラッパーって設定いる?ってくらい空気なので。
モンスター・パニックなのて大事なのは巨大トカゲの生態
モンスター・パニックなので1番大事なのはそのモンスターの生態や行動、それと造形でしょう。
まずは造形、これははっきりとでかいだけのトカゲです。
色合いとか空飛んだりするところ見るとモンハンのティガレックスに見えないこともないですが、でもトカゲです。
お次は生態ですが、結構頭も良く可愛いと思います。
なんか色々見ている身なので麻痺している気もしますがでも可愛いところもあるんです。
まず上の方でも語った通り、本編前から普通に定期的に人食ってるのがいいですね。
これが掘削作業により目覚めた生物なら登場人物の責任が重くなってしまいますから、大人な配慮が出来るモンスターです。
頭の良さも中々で子供のために人を食べるのではなく手で掴んだり口の中に入れたまんま巣に持って帰り、
そのまま口から出す体液(唾液?)でコーティングして身動きを取れなくするという、
子供には生きた新鮮な餌を食べさせたいという親心を感じますね。
弱点対策も完璧で水が苦手なので住処である洞窟の水源に餌にも使う体液で壁を作り水を堰き止めているという、
これは村周辺で水源が見つからない原因であり実は自然環境の破壊者だったのは?とも推測出来る村の天敵でもあったかもしれない因縁も作れています。
能力面に置いてはまず空を飛ぶというか滑空出来ます。
この滑空ですれ違いざまに人の首を落としたり真っ二つにしたりと体にある硬い棘のよう部分を使っているんでしょうがなかなかにケレン味のある演出してくれましたね。
逆に言うとそれ以外はでかいだけのトカゲなんですが。
子供のために餌持っていくということでキルスコアが意外と少ないのです。
水という明確な弱点があり、村全体への因縁も匂わせて、そしてこの手の映画にしては珍しい同情の余地が無い怪物というのが今時貴重かもしれないそんなトカゲでした。
ちなみに車の上で眠るシーンがあるんですがここだけアニメチックで可愛いですよ。
というか目周りの造形が全体的にアニメ的な表現だった気がします。
まとめ
普通に見れる内容のモンスター・パニック映画だとは思います。
人間ドラマの配分は完全に好みの問題になるでしょうが、
この映画の場合は人間ドラマに出てくる人物が食われないということでよりここで評価が分かれそうな気はしますね。
自分は人間ドラマは(当然内容にもよりますが)ちゃんと必要派なのですが、
それはそのドラマからの犠牲になる人間あってこそだと思うのでそこら辺は不満要素でもありました。
とはいっても期待値から見たら十分な内容、特にモンスターのCGの出来や動きは予想を上回ったので、
メインとして見る部分の満足感もしっかりとあった映画でした。
最後にお約束な演出も入れていますが、これが続編想定なのか、それともただのお約束に過ぎないのかは将来に期待ですね。
それにしてもアジア圏でのモンスターのCGのクオリティの発展は目に見張るものがありますね。
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