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製作国
韓国
監督
シン・ジェミョン
出演者
イ・ジェユン
コン・ジョンファン
チェ・ジス
キム・カンイル
ソン・ミンギョン
今回は韓国のアクション映画、スペシャル・エージェント 特殊工作員(原題:특수요원/Special Agent)の感想。
この映画、かなり潔い作りをしている映画となっております。
ストーリーにおける目的はとてもシンプル、しかしかなりセンシティブな題材の目的。
そしてやりたいことは間違いなくただただ長尺のアクションという。
このやりたいことのためだけにこんなセンシティブな題材にするのかと思い切りの良さと潔さを感じ取れる映画となっていましたよ。
ジャンルはアクションで上映時間は約94分となります。
目次
あらすじ
必ず殺る。観る者すべてを血しぶき吹き荒れる極限の戦場へ誘う、没入型バイオレンス・アクション!
Rakuten TVより
韓国国家情報院所属だったウォンチョルは鑑別所に収監された娘を救う為に国からのある命令を受け入れる。それは韓国から北朝鮮に拉致され、大量殺戮を可能とする生物兵器の開発を強要されている科学者、通称VIPの暗殺。一人国境を越えたウォンチョルだがVIPもまた彼と同じく娘を人質同様にされた立場と知る。悩んだウォンチョルが下した決断はVIPと共に逃げる事。しかし想像を絶する残酷な追っ手との死闘が待ち受けていた。
スペシャル・エージェント 特殊工作員を配信している配信サービス
※2024年3月9日時点
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登場人物
・パク・ウォンチョル
韓国国家情報院所属対北朝鮮情報収集および暗殺担当
1任務を終えて10年ぶりに帰還したが妻は癌で亡くなり、娘は鑑別所に入所していた
娘の前科を回避させるために再び北へと向かい生物兵器開発のソン・ヨンボムを“消す”任務につく
・ソン・ヨンボム
娘を人質に取られ北で生物兵器を開発した科学者
娘に会うためにそして兵器の解毒剤のためにウォンチョルと共に北からの脱出を図る
・パク・アルム
ウォンチョルの娘
母ヘソンの看病のために学校を中退して看病をしていた
不良と揉めて相手を脳挫傷にしてしまい鑑別所に入所している
ざっくり概要
かなり潔い話の構成にしている本作。
ざっくりとしたあらすじとしてはこんな感じ。
対北の工作員であるウォンチョルは任務を終えて10年ぶりに帰還した。
仕事を辞めようと思ったウォンチョルだったが先輩が再び任務を言い渡す。
それは北が開発している生物兵器の開発者であるソン・ヨンボム博士を“消す”ことだった。
兵器が完成したら使われなくても対外的に相手に優位を取られてしまう、そのために開発者が消えることを国は望んでいたのだった。
だが仕事を辞める決意をしていたウォンチョルは任務を拒否。
そこで先輩が10年の間の家族の動向を語る。妻は乳がんで既に亡くなっており、
彼女の看病のために学校を辞めた娘アルムは妻の死後に不良と揉めて相手を脳挫傷で怪我をさせて鑑別所に収容されていたのだった。
娘の前科の回避を条件に任務への参加を“オファー”する先輩。
ウォンチョルは鑑別所の娘に面会に行き10年ぶりに再会を果たす。
10年の月日でアルムはウォンチョルを父とは認めずウォンチョルはそれでも指輪を残し彼女のために任務の参加を決意する。
そしてアルムは面会の際には彼を拒絶したものの父の存在に涙を流すのであった。
任務のために北に潜入してソン博士を“消そう”とするウォンチョル。
だが彼の話を聞き共に国境を越えることにする。
ソン博士が連れ去られたことに気付いた北は特殊部隊の追手を差し向ける、時を同じくして南もウォンチョルと博士を確保するために特殊部隊を送り込む。
差し向けられた追手により負傷していくウォンチョルとソム博士、そして犠牲になっていく特殊部隊。
軍事境界線で両国首脳の握手の裏で行われているこの作戦はどのような結末を迎えるのか…
こんな感じのストーリーとなっている本作。
韓国映画としては割とセンシティブな内容ですよね。
北が生物兵器を作っていて南が工作員と暗殺者を送り込むとか中々に攻めたストーリーだと思います。
しかし、これはあくまでやりたいことのための舞台作り。
メインのアクションはストーリー以上にもっと力を入れている映画となっておりますよ。
ストーリーはめっちゃシンプル(ネタバレあるけどあまり意味ないよ)
本作のストーリーは滅茶苦茶シンプルです。
北が生物兵器を作っているから開発者をどうにかしよう。
開発者を確保したから後は一緒に国境を越えよう。
最初から最後までこれだけの話と言っても過言じゃあありません。
本当やりたいのはアクションであって理由付けとしてこのストーリーにしただけという潔さを感じるくらいです。
何ですが、北と南の関係性的にデリケートな話をやっているのでそれだけの話なのにセンシティブな攻めたストーリーではあるんですよね。
北が生物兵器作っていて南が工作員送り込んで妨害とか、普通ならコンプラに接触しそうな話なもんですが、
これがこの規模の映画で(この規模だから?)通るのは国ごとの違いと強みを感じます。
一応軸の1つとしては娘のためにと言うのが逃亡するウォンチョルとソム博士2人の共通軸として用意されてはいるのですが、
ソム博士がどうなったのかを明かさないのであくまでウォンチョルが奮起するための理由付けくらいにしかなっていませんかね。
任務に参加するのは娘の前科を避けるため、消せばいいだけのソム博士を何としても共に国境を越えようと思ったのは彼も娘のために動いているから(後、解毒剤の情報のため)
これくらいにしか使われないのでこの部分はウォンチョルの行動動機のためと思った方がいいかもしれません。
そんなあくまでアクションのためのオマケくらいの潔さも感じるストーリーですが、
どこか無情感のある雰囲気にするのは流石の韓国映画といったところでしょうか。
この映画、ストーリーの裏で行われているのは北と南の両首脳の握手なんですよ。
この1つの要素だけで本当にいい無情感を出せています。
両国の表向きの和睦をアピールしながら裏で行われているのは生物兵器の開発、
そしてそれを止めるために送り込んだ工作員と追手による国境付近での殺し合い。
こんなん見せられたらこんな白々しく無情なお話ってあります?ってそりゃ思いますよ。
ラストで映し出される積み上がった双方の遺体。
北と南は互いの行動を暗黙の了解として飲み込んでいき、その暗黙の了解の中で血と涙が流され死体が積み上がっているのかもしれませんね。
最後にウォンチョルとアルムの和解という血の通った結末にしたのはそこら辺を中和させるために行った展開なのかもしれません。
ぶっちゃけウォンチョル死ぬと思ってました。というかあのラストは実はウォンチョルの夢だった説だって考えてるくらいです。
完全にこちらがやりたいだけだと思われるアクション
この映画は完全にアクションがメインです。
で、そのアクションの内容ですが、キレがありつつも泥臭くなりふり構わない内容なのがとてもいいです。
アクションそのものは長尺な上にキレッキレなんですよ。
でもその路線なのにかっこいい方向ではなく泥臭い方向に舵を向けている。
何といっても序盤の時点で主人公のウォンチョルがボロボロになりますからね。
坂は転げ落ちるわ、北の特殊部隊との戦闘でナイフで刺されるわで序盤からこんなんで最後まで持つのか…?と不安に思うくらい。
ナイフの話題出たからついでなんですが、この映画は銃はほぼ使いません。
流石に現地事情には疎いので断定出来ませんが、作中での台詞を鑑みるに制約が厳しい場所と緩い場所があるそうです。
今回の舞台は制約が厳しいのでナイフ中心ということなんでしょう。
話を戻しまして序盤の時点でウォンチョルが大負傷するのでこれはハードでリアルなアクションになるぞと思ったら、
中盤で南の特殊部隊到着から泥臭さはそのままにケレン味が増してくるのですよ。
マジでここから北の追手との戦いが一気に増えるのですが、1回の戦闘がかなりの長尺なんです。
この1戦したら退場の人物ばかりなのに長尺。キレッキレで何度も何度もナイフを刺し合い、切り合い、そして罵り合い。
こんな泥臭くもなりふり構わないアクションをキレのある方向性で出されるとは思いませんでしたよ。
多分想像の3倍は1回のアクションは長い。
そして自分のかなりお気に入りポイントが北の追手の描写。
追手なだけに数はかなり多いのですが、この追手達の描写は完全にゾンビ映画のテイストなんですよ。
追っている時は無表情、しかし、敵を見つけた時は牙を剥き出しにするかのように感情を昂らせて襲いかかる、数の多さも相まって完全にゾンビですわ、これは。
1人の兵士に複数の追手が叫びながら群がりナイフで滅多刺しにするのはゾンビ以外の何者でもない。
訓練、洗脳されて兵士はゾンビと変わらない、そんな無慈悲さを現している…のかもしれません。
全体的にありそうで意外と類似作品見つからないタイプの本作のアクション。
正直交互にナイフ刺し合うところとか黒ひげ危機一発みたいだなと笑い所にもなってしまっているのですが、
それでも剥き出しの感情で殺り合うのはこれぞ韓国映画って感じがしていいですね。
描写そのものはかなり容赦ないです。
でもカメラのブレが激しすぎるのだけはマイナスポイントですかね。
まとめ
やりたいこと決めて作ったような潔さがあって何か見ているこっちも変な満足感がありました。
でもこんなアクションやりたいがために北と南の関係性というセンシティブな物を題材にして、
国境付近での攻防というこれまたデリケートな物を扱うのは思い切ってましたね。
でもこれを当たり前に題材に出来てしまえるくらいにはこういう事態というのは案外裏で起きまくっているのかなとか、
起きているんだろうなぁという現地の市民感情が強いというのが何となく察せてしまうような…
こういう映画でそういうことを察せてしまうのがまた面白い訳ですが、
そういう社会背景というのを横に置いてもアクションは質が良く、泥臭いのにキレがあるという珍しいタイプのアクションなので。
少し変わった内容のアクションが見たい方にはオススメです。
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