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製作国
ニュージーランド
監督
ジェラルド・ジョンストン
脚本
ジェラルド・ジョンストン
出演者
モーガナ・オレイリー
リマ・テ・ウィアタ
グレン=ポール・ワル
キャメロン・ローズ
今回は家から出られない事情の中で家の中の怪奇現象とかつての家で起きた事件に向き合うことになる映画ハウス・バウンド(原題:Housebound)の感想。
仕掛けも伏線の回収も実に見事なストーリー展開となっているいいホラー映画でした。
ホラーとしては最後まで見ると印象の変わる序盤の演出、分かりやすいホラー展開となる後半の展開と緩急があるホラーとなっており。
ストーリー面では家族というテーマで再生と新しい形という物を真面目にコミカルにホラーに見せてくれる完成度の高い映画となっていました。
ストーリーが面白いホラーと言うのは意外と貴重なので見ないともしかしたら損かもしれませんよ。
全てを見て上のパッケージ画像の印象を変えましょう。
ジャンルはホラーで上映時間は約107分となっております。
目次
あらすじ
母親の実家はおばけ屋敷!?見事なシリアス・コメディ・ホラー!
Rakuten TVより
ATM強盗で捕まった不良娘カイリー。下った裁定は母親の実家に自宅監禁という軽い処分。案の定、何とか逃げ出そうとするカイリーだったが、家の中で怪奇現象が起こり始め、逃亡もままならなくなる。やがて“それ”は次第にエスカレートしていく。なんと母の実家はお化け屋敷だった!
ハウス・バウンドを配信している配信サービス
※2023年11月18日時点
見放題 | レンタル | |
Amazon Prime Video | ✖️ | ◯ |
Netflix | ✖️ | ✖️ |
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登場人物
・カイリー
ATM強盗をした不良娘
更生と生活の安定のために母のいる実家に8ヶ月拘禁されることが決定され実家に戻ることに
実家で起きる怪現象で自分が狙われていると感じて調査を始める
双極性障害とカウンセラーから診断されている
・ミリアム
カイリーの母
家で起きる怪現象について悩みラジオに投稿するなどしていた
荒れているカイリーには手を焼いている
・グレアム
カイリーの養父
口少なく会話が得意ではない
・エイモス
カイリーの保護観察官
家での怪現象による幽霊騒ぎを信じカイリーの調査に協力する
・エリザベス
かつてカイリーの家で殺害された少女
ミステリーと家族の再生を上手く混ぜたいいホラー
不良娘であるカイリーがATM強盗に失敗して帰った実家で起きる怪現象の幽霊騒ぎの調査をするという本作。
ハウス・バウンドというタイトル通り、拘禁中ということで装置をつけられ家の外に出られない状態、
なので逃げられないからこそ調査して向き合わなければいけない問題ということですね。
この向き合う問題というのがこの騒ぎの他に家族や自分も含まれており、
これがストーリーやテーマとしていい機能を果たしておりました。
コミカルな要素もあり話も面白いという貴重なホラーですね。
幽霊か人間か
曰く付きの実家で起こる幽霊騒ぎ。
最初見るとどう転ぶのか予測がつかないミステリーとしての楽しみもあるストーリーとなっておりました。
過去に恐怖の更生施設と呼ばれ、エリザベスことリジーという少女が最も残酷な殺人事件の1つとして語り継がれるほどの内容で亡くなった現場でもあったのが主人公カリーナの実家。
そこで起きる不可解な怪現象。
ドアが勝手に開く、何かが動いている物音がする、電気代が大きく上下するなど割とベタな現象が起こっていきます。
ここで面白いのがラジオで母のミリアムがラジオに相談した時は日常を超常現象と解釈してしまう認知バイアスの話をされること、
他にはミリアムがカリーナに手を焼いているということ、
これらのことから幽霊以外の可能性を考えるようになるのは自然な流れで、
実は不良娘のカリーナを懲らしめるためにミリアム達が仕込んでいるのでは?とも最初は予測してしまったりします。
でも過去の更生施設で起きたリジーの殺人事件は実際に起きていてと、
怪現象は人間なのか幽霊なのか、そもそも悪意によるものなのかどうかすら分からないと。
こういう映画は自分が見たというかこのブログの感想範囲でもユー・アー・ノット・マイ・マザーやマーシー・ブラック、降霊会 血塗られた女子寮など書いていますが、
こういうミステリー要素も強く関わるようになるストーリーは最後まで目が離せない要素となり面白くなる傾向が強く、この映画もそれに漏れない内容でしたね。
しかもこの映画、カイリーとエイモスの調査でどんどん新しい事実や登場人物が出てくるのですが、本当の真実に辿り着くのはかなりの後半となっており、
少々唐突感ある人物が関わる部分はあれど登場人物の思惑を完全把握はなかなか難しいのではないでしょうか?
特に後半で判明する2人の人物の思惑を早めに予測出来たなら相当このタイプの映画に慣れていると言ってもいいレベルだと思いますよ。
事件と現象の真実
リジーの霊の仕業とカイリーとエイモスが考えた上で真実を追い求め始まる調査。
最初はカイリーが霊に選ばれたと思い彼女の無念を晴らすためという名目で進むのですが、調査が進み、出てくる事実や登場人物で徐々に全容が見えていきます。
個人的にはこれがこの映画の話としての面白さ。
現象のように当時の証拠である入れ歯を提示されてそこからどんどん新しい関係者が増えていくという、
最初の状況から見るとミステリーとしては後出しに近い部分はあれど、
その関係者達の思惑がはっきりしない、もしくは第一印象と違うと言うのはベタなりに展開の変化が楽しめます。
増えていく関係者は隣人のマッズ、そのマッズにある日預けられ事件の1年前に姿を消した不気味な子供ユージーン、更にカウンセラーのデニスと。
全員が入れ歯という共通項で順番に容疑者として見られていくという、
後出しが続くのもそうですがよりによって共通項が入れ歯というのもコメディチックで面白い。
この中で最も重要となるのが当時の事件では少年だったユージーン。
機械いじりが上手く何でも直すことが出来るけど、対人部分では上手くいかず広い所が苦手という人物です。
彼は事件の1年前に親代わりだったマッズの元から姿を消すという容疑者の1人となるわけですが、
そんな彼が現在どこにいるのかと言うと、
カイリーの家での怪現象である天井裏などから聞こえる物音、電気代が突然上がったり停電が起きたりするとここまで言えば分かりますよね。
彼はカイリーの実家に長年、それこそ事件が起きた更生施設時代からここに勝手に住み着いていたという、
つまり怪現象の真実は家に潜んでいたユージーンということですね。
そうなってくるとリジー殺しの犯人も…とならないのがこの映画。
リジー殺害の犯人は当時施設に研修に来ていたデニスと。
彼の存在はちょっと唐突感はありましたね。
とはいえ彼が出てからもユージーンとどっちが事件の犯人なのかはギリギリまで分からないようにしているのでミステリーとしてはちゃんと体裁は保てていたかなと思います。
事件と現象の犯人はそれぞれ別という、これがいい展開で好みでしたね。
この手の映画だと犯人を一緒にしてしまう部分が多いのですが、
本作は犯人を別にしたことで家族というテーマにも繋がるユージーンの存在を大きくしたなと思います。
これがただのユージーンが今も昔もイカれた少年だったではこのテーマには相応しくありませんからね。
ただ対人能力に問題があるだけで最初からあの手この手でカイリーに怪現象としか思えない形でコミュニティを取って救おうとしていただけと、
不器用な住人だったという怪現象だけでなく彼の人物像の真実も付いてくるのがこの映画の話運びの上手さだと感心出来ました。
家族の再生と新しい家族の形というテーマ
この映画のストーリーテーマは間違いなく家族です。
ただ単純に不良娘のカイリーが再び心開き家族が再生していくという形にしているのではなく、
ユージーンという存在も合わせて新しい家族の形というものを作っているのが本作でのテーマの特徴でした。
家族の再生と言う部分に関しては上の通りカイリーが心を開けばと言うだけで解決する部分となっています。
見れば分かれますがカイリーは冒頭からATM強盗やるレベルの不良娘で家に帰ってもやりたい放題という有様で、
初期の頃なんてこの手の人物にありがちな実家に帰って過去の思い出を逡巡するなんて描写もないくらいとなっています。
だからこそホラーという部分においては逞しくコメディチックになったりもしているんですが。
なので家族の再生と言う部分においては本当にカイリーだけに問題があると言っても過言ではなかったですね。
それでも今まで碌な会話もなかった養父のグレアムなんかはこの機会にカイリーと口下手なりに自分のことを話したりするなど、
家族として距離を縮めていこうとしているなどが出番が少ないなりに(というか少ないからこそ?)妙に印象に残る描写が光りましたね。
というか全体的にこの映画の家族達は相手に対して不器用さが目立ちましたね。
グレアムなんかは言うに及ばずカイリーなんかも突っぱねているようでいざとなったら母の心配を全力でするなどしていますしね。
だからこそ映画で起きた事件というのがある意味ショック療法となり距離が縮まり家族の再生に繋がっていました。
特にグレアムにしてもミリアムにしても聖人の域だと思います。
カイリーが誤ってグレアムを刺して病院送りにしてもラストでは家族として歓迎しているんですから。
そしてもう1つの新しい家族の形。
これは家に実は長年潜んでいたユージーンを受け入れるということ。
彼はカイリーや家族のことを家の中から一方的に知っている身となっているわけなんですが、
特にカイリーのことは相当に気に掛けていた描写が多く出てきます。
彼女が帰ってきた時はぬいぐるみを始めとした事件への警告、
それ以外にも彼女のトゥシューズや写真などの昔の良き思い出に誘導すると言う不器用なアプローチをしていたり。
カイリーが出て行った時もミリアムと共にカイリーを待っている絵を描いていたりと、
かつてのリジーと重ね合わせた部分があるのか再び家に帰ってきて欲しいという思いが強く見受けられましたね。
カイリーを見守っていたもう1人の家族、正直言うと側から見て事実だけを羅列するとちょっとキモい部分もあるのですが、
それでも不器用な部分、人に受け入れらないという恐れなどはカイリーにとってもどこか共感する部分もあったのでしょう。
リジーの事件での負い目をカイリーに叱咤され今度は彼女を助けることでそれを払拭する、
彼にとっても1つの人生の再生となる物語にもなっていました。
最後にデニスから助けたという恩もあるのでしょうが、7ヶ月後となるラストでも壁の裏にユージーンがいるのを当たり前とする新しい家族の形となるEDにはホラー映画の終わりとは思えないコミカルさでこの映画のらしさが出ていてほっこりと致しました。
EDまで見るとこの恐ろしげなホラー映画としてのパッケージもただの家族写真となるという仕掛けも含めていいテーマ、いいストーリーに仕上がっていましたね。
序盤と終盤で緩急あるホラー演出
ホラー映画なのでホラーの演出面のお話も。
先に言っておくとホラー慣れしていると全然怖くはないです。
あくまでストーリーの味付けや動機、後は分かりやすい見せ場に繋がっていく要素といったところですね。
この映画のホラー演出は序盤はじっとりと(全て見た後はコミカルに)最後はしっかりと殺人鬼な演出になるといい具合の緩急がありましたね。
序盤は所謂見えない、分からない怖さ。
なぜか何度も開く扉、天井裏を這い回る音、突如喋るぬいぐるみとポルターガイストとしてお手本のような演出が目立ちました。
これは初見の時は何の仕業かいつ仕掛けてくるのか分からない怖さとなっており、
それでいて全てを見た後に振り返るとユージーンの不器用なアプローチというコミカルさに感想が変化するという、
この初見と鑑賞後で印象が変化する序盤のホラー演出こそがこの映画の妙となっていると自分は思いましたね。
ホラー映画というのは見慣れているとあまり驚きが無くなっていく物であり、
こういうアプローチがあると怖さとは違いますが映画としての面白さには繋がるので。
ただこれだけだとホラーとしては体裁が保ちきれないということで行われるのが後半の事件の犯人であるデニスによる凶行。
犯人とバレてからは執拗に家の中を追いかけてくるのですが…
正直こちらはベッタベタなので怖いかと言われるとこちらもまた違うかなと思いますが、決着の付け方がですね。
これまでのグロなんて匂わせもしなかったのにいきなら派手に頭がパーンとですね。
まぁこれ見ても突き抜けているのとカイリー達の反応で派手なグロすらもコミカルに変えているのはこの映画らしいというか上手さなのかもしれません。
ホラーとしては怖くはないですが、ストーリー的には何だかんだで必要不可欠な要素という結構不思議な要素になっているホラー要素。
だからこそこの映画の独特さに繋がっているのかなとは感じました。
まとめ
貴重なストーリーが面白いホラー映画でした。
ただホラーとして力入れておけばストーリー面はおざなりでもいいだろうという物とは違い、
ストーリーにはしっかりと力を入れており、ホラー要素も最後まで見れば印象が変わるという部分も含めて上手い扱いでした。
怖いか怖くないかと言われると怖くはないのでホラー映画としてはもしかしたら失格なのかもしれません。
ですがホラー要素は必要不可欠な物としてストーリーの仕掛けにもテーマにも作用しているとホラーが欠かせない映画となっているので、
これもまた良いホラー映画なのだと自分は言いたいですね。
コミカルさも仕掛けと伏線の回収も見事に行っている映画なので単純に完成度の高く怖さ控えめなホラーを見たい方にはかなりオススメの映画となっていますよ。
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