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製作国
イギリス
監督
スコット・チェンバーズ
脚本
スコット・チェンバーズ
出演者
メーガン・パーヴィス
サラ・T・コーエン
ニコラ・ライト
マイア・ブラウン
マックス・ビーケン
今回は若者達の願いが悪魔の手によって歪な形で叶えられていく映画、悪魔ジン デーモン召喚(原題:Devil Djinn/Conjuring the Genie)の感想。
この映画、意外と面白いです。
B級特有の冗長な人間ドラマも願いというテーマにより登場人物の願いを観客に提示させる必要があるためそこまで蛇足とは感じない。
そして願いの代償というストーリーとしてのテーマも願いが歪な形で叶えられていくホラーとしての黒い楽しみもしっかりカバーしています。
B級にしては真面目に練られている映画なので自分はダレずに見ることが出来ました。
ジャンルはホラーで上映時間は約95分となります。
目次
あらすじ
都市伝説の課題を出された女学生が偶然見つけた“都市伝説ハンター募集”の告知。興味を持った彼女は5人の仲間を誘う。実際、深夜の教会で行われた儀式で召喚した彼女らの前に“願いの悪魔”が現れ、彼らの願いは次々と叶えらていく。だが、それは彼らが望むものとは明らかに違う異形のものだった…!悪意に満ちたジンの真の目的とは一体何か?唯一、導師となった女子大生の最愛の父を蘇らせるる願いは叶えられたが、彼女は友人たちのためにある決断を下す!都市伝説の“願いの悪魔”に魂を狙われた若者たちの苦悩と恐怖を描くオカルト・ホラー!
Amazon Prime Videoより
悪魔ジン デーモン召喚を配信している配信サービス
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登場人物
・モーガン
父を亡くしたショックで学校を休みがちな少女
大学ではジャーナリズム専攻
講師に都市伝説の課題を出され、調べていく中で友人達と共に悪魔“ジン”の儀式を行うことになる
・ジェイク
モーガンの友人
モーガンに想いを寄せている
・リアーナ
モーガンの友人
学校を休みがちなジーナを何かと気にかける
彼氏のポールの浮気性に悩んでいる
・トム
モーガンの友人
部活のスタメンを目指しているが実力不足に悩んでいる
・ダイアン
モーガンの友人
モデルを目指している
・ダニエル
“都市伝説ハンター”の男
モーガンの取材を受け、彼女と友人と共に悪魔の召喚を行う
ざっくり概要
心に傷を抱えた少女、年相応の悩みを持つ若者など様々な悩みが悪魔により歪んだ形で叶えられていく本作。
終盤に入るまでのあらすじとしては、
父を亡くした傷心で大学を3ヶ月間休みがちになっていたモーガン、
彼女を気に掛けていたリアーナによりモーガンは立ち直ろうと久しぶりに大学へと向かう。
3ヶ月の休みにより単位が厳しいモーガンだったが講師により都市伝説について記事を書く課題を出される。
学校で久しぶりに会い歓迎する友人達、
しかし父との死別で殻に籠っていたモーガンと母は未だぎこちないままだった。
都市伝説について調べていたモーガンは“都市伝説ハンター募集中”という触れ込みを見つけその中のダニエルとやり取りをする。
悪魔の召喚には5人が必要ということで友人達とダニエルと会う約束をするモーガン、
その夜ダニエルと会うモーガン達は教会でダニエルから何でも叶うランプの魔人のような“願いの悪魔”の話を聞き興味を持つ。
そしてダニエルと共に“願いの悪魔”の召喚の儀式を始める。
呪文を唱えて儀式が終わった時ダニエルが消えモーガンと友人達5人全員が“願いの悪魔”を見る。
薬や幻覚を疑う5人だったが、全員が同じ映像を見たことからこれは現実なのだと実感する。
後日美容院に立ち寄った友人の1人ダイアンの目の前に“願いの悪魔”が再び現れ、悪魔は彼女に望みは何か?と聞く。
モデルを目指すダイアンは悪魔に完璧な存在だと思われたいと願うが、悪魔はダイアンをまるでマネキンのような姿に変えてしまう。
一方でモーガンは自身が見た悪魔のことを調べている最中に講師に声をかけられ彼から調べている悪魔の名は“ジン”だと教えてもらう。
そしてダイアンに続き今度はモーガンの前に現れるジン。
モーガンはジンに自身の傷となっていた父を生き返らせてほしいと願う。
その夜モーガンの家の玄関がノックされモーガンがドアを開けると目の前に現れたのは亡くなった父であった。
彼女は願いを叶える悪魔は事実だと確信して友人達を呼び出し父が生き返ったことで“願いを叶える悪魔”の存在は本物だと友人達に語る。
ダイアンを除き集まった友人達とモーガンはその事実に高揚する。
ただ1人ジェイクだけが違和感を感じる中、他の友人達は次々と願いをジンに望むのであった。
ジンが願いを歪に叶える存在だと知らずに…
大まかには大体こんな感じのストーリーな本作。
人間が抱えている願いというのが大事な部分でそれを悪魔が騙して歪な形で叶えるというところで黒い楽しみを感じるストーリーでもありますね。
特筆はしませんが粗も無いそんな感じで無難には見れるストーリーでした。
真剣な願いも青い願いも…(ネタバレあるよ)
この映画は悪魔であるジンが人の願いを聞いて相手を騙して歪な形で叶えると言うのが1つの大きな見どころ。
そして願ってはいけない物もあるというのもまた大きなポイントでもありました。
基本的にこの手のB級というのは無駄に会話シーンが長かったりなんてこともあるのですが、
この映画は人間の願いという部分が大事になる。
これにより会話シーンに無駄と感じさせる部分を少なくしていたのは上手かったんじゃないでしょうか。
若者が主役だけあって色々な願いがあるんですこの映画。
主人公モーガンは3ヶ月前に父が亡くなったことで傷心している訳ですが、
当然彼女の場合はその父が生き返ることを望む訳ですね。
で、ここで面白い…というかジンの狡猾な部分なのですが、彼女の願いは真っ当に叶えられるんですよ。
これは儀式の際に彼女が導師というポジションになったことでジンが真っ当に叶えるしかないという部分でもあるのですが、
1番非現実的な願いが真っ当に叶ったことで結果として他の友人達はそれを信じるようになる、
これによって撒き餌としては完璧な形になっているんですよね。
その哀れな被害者となる肝心な友人達の方の願いとなるのですが、彼らの願いはモーガンに比べると実に青いのですよ。
青春全開、若いからこその浅はかだったら子供じみたあがきと願い。これが歪な形で叶えられることで黒い快感がかるのもまた事実なのですよ。
友人達の最初の被害者となるダイアンはモデルを目指していて完璧な存在だと思われたいと願う。
その願いはまるでマネキンのような姿にさせられ叶えられるというこれはちょっとどういう皮肉か読みづらい部分であったのですが、
でも確かに完璧なモデルはマネキンと言われたらそうなのかもなと思います。
続いてトムは部活のスタメンに入らないこと可能性が高いことで悩んでいるのですが、
おそらくアメフト部っぽい彼の願いはチームの誰にも負けない強さが欲しい、
そんな彼の願いは化け物(狼男)になることで叶えられる、
これは分かりやすいくらいの屁理屈ですよね、強くなりたいなら人外にしてやるわって言う。
ここで面白いのはトムのもう1つの潜在的な望みも一応叶えてあげてる点。
彼の母と自分の学校の先生が付き合っていてトムはこの2人の関係性を良くは思っていなかった訳ですよ。
それが化け物になった時に暴走して先生は殺害して母もジンの餌食となる、
これも潜在的な望みを歪な形で叶えたと言えると思います。
最後に今回ジンが最低な形で願いを叶えていると思うのが、リアーナ。
彼女は浮気性な彼氏ポールを自分の元に引き留めたいと思い、妊娠したと嘘をついていた訳です。
そうなると彼女がジンに願うのは当然妊娠したいという願い。
実に若者らしい浅はかな嘘と浅はかな願いです。
そして1番嫌な予感がする願いでもありましたね。
でもジンは観客も騙して歪な形で願いを叶えるのでそんな安易なグロ方面には進みはしません。
冒頭でジンを見たくないと言った少女に目無くなれば見えないぞと目玉抉らせたのは無視だ!無視!
彼女のオチはジンの最低さが目立って本当笑えます。
はい、妊娠させたぞ、妊娠したいということは母になりたいんだな?
つまりマミィになりたい、じゃあミイラの方のマミィにしてやんよ!
…なかなかいい言葉遊びしてくれるじゃねえかジンさんよ。
こんな感じで真摯で荒唐無稽な願いがまともに叶ったことにより若者らしい青い願いが歪な形で叶えられていく、
この黒い楽しみは変な快感をもたらしてくれましたよ。
特にリアーナはマジでお気に入りです。膨らんだ腹が突き破られるなんてエイリアン方面なグロではなく、
母になるという部分で言葉遊びして騙すのは流石に上手を取られて感心してしまいました。
叶ってはいけない願いだからこそ
友人達の中で唯一この都合のいいジンを疑ったのはモーガンに思いを寄せるジェイク。
彼は悪魔召喚を共にしたダニエルの居場所を見つけ、モーガンと共に彼からジンの正体と狙いを聞くのです。
ダイエルがジンを呼び出したの狙いは実はこの映画の冒頭でジンにやられた妹を取り戻すためにジンと契約したから。
願いを叶える代わりに新鮮な5つの魂、つまりモーガン達全員の魂を捧げることだった、
そしてやり直しジンを止めるのであればモーガンが願いを放棄することであると教えられる。
このモーガンとダニエルの願いが近いことが面白いのです。
どちらも死んだ存在を再び取り戻したい、しかもモーガンに関しては完璧な形で願いが叶ってしまっているのですから、
友人達のためとはいえ放棄するのに躊躇を覚えるわけですよ。
でも願いをテーマにしている以上は叶ってはいけない願いがあるというのも大切な部分。
この映画では死者は戻ってはいけないですね。
だからこそモーガンはジンの甘言に惑われされずに願いを放棄する。
これは父を再び失うという物を超えて自分が父を改めて殺害するという形に近いと思います。
でも叶ってはいけない願いを叶えてしまったらやはりこういう代償をつけるのが物語の筋という物なのでしょう。
ジンを封印した後に再びジンを復活させようと現れるダニエルにもモーガンは痛みに向き合ってと彼に死者を戻らせることを諦めさせています。
人間辛いことには向き合いいずれ受け入れる必要があるもんですが、
彼らにとってはこれほどの深い痛みを伴う形で受け入れさせている、
これがやはり叶ってはいけない願いの代償なんでしょう。
叶ってはいけない願いを悪魔に叶えさせたら受け入れるための痛みも倍増することになる、
意外と教育的な側面もしっかり出しているのでB級とはいえ真面目ですよね、この映画。
ジンの愛嬌
やってることは最低な悪魔のジンですが、B級らしい事情からか。色々な愛嬌を感じ取れたりする存在でもありました。
まず何といっても見た目ですよね。
CGで高クオリティなんて無理だから日アサの特撮怪人みたいな着ぐるみで登場するのが日本人ではむしろ親しみしか感じない要素になってしまっています。
そして何度もお気に入りとして上げますがリアーナに対する言葉遊びもまぁ最高。
騙しが得意な悪魔だけあって観客も上手く騙してくれるじゃねえかと感心まで手に入れる愛嬌っぷり。
でも最高に愛嬌あるのはやはりラストです。
今まで願いを叶えた友人達引き連れてやってくるのですが、その絵面が面白すぎるのです。
規則的に動くマネキンと狼男とミイラをバックにモーガンを説得する姿はあまりにも面白い。
もうここまで来たらいっそアクションやって戦ってくれよと笑ってしまいましたよ。
この着ぐるみがサイコ・ゴアマンばりにこだわり持っていたら正直自分はジンに傾倒してしまったかもしれないくらいに何か親しみと愛嬌を感じてしまいましたよ。
でも、忘れてはいけません。ジンはやってることは最低な奴なんで許してはいけないのですよ。
でも、怖い形で願い叶えてるのが冒頭だけなんだよなぁ…
まとめ
教育的でとても真面目なB級映画でした。
叶ってはいけない願いの代償や青い願いが歪な形で叶えられる黒い楽しみ。
そしてB級特有の長い会話もこれらの願いを語らせるためにはまぁ必要なので蛇足にはあまり感じない。
もっとしっかりと練っていたら割と大勢が楽しめる映画になるんじゃないかな?と思うくらいでした。
何気に続編もあるらしいのでいつか日本にやってきたら是非見たいですね。
そしてその時もジンには着ぐるみを継続して欲しい、安くてしょぼいCGよりしょぼさも味になる着ぐるみですよ。
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