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製作国
中国
監督
チン・ポンフェイ
脚本
シュー・シャオフェイ
出演者
アシュトン・チェン
マイケル・トン
クー・ツィンツィン
チュンユー・シャンシャン
ワン・グオポン
バン・マージア
リウ・フォンチャオ
今回はあの盲剣楼のスピンオフとなる映画、剣侠伝(原題:捉刀人/Blade of Fury)の感想。

つまりはアクションのクオリティは完全に心配することはなく、そしてどこかシビアでありながらも人情が深く漂う作風にもなっているのでしょう。盲剣楼2作をアクション映画のベストシリーズの1つ思っている自分としては当然チェックせざるを得ない。というわけで早速観賞した次第です。
ジャンルは当然アクションで上映時間は約89分となります。
TianJin CAVELRIES Co., Ltd.
目次
あらすじ
安史の乱後、混乱の世を生き延びた元武官で山犬(ジャッカル)と呼ばれる裴興(ペイ・シン)は、法外の徒を捕らえて賞金を得る”捉刀人”として日銭を稼いでいた。ある任務で、賊に奪われた”荷”が財宝ではなく女・柳貞(リウ・ジェン)であると知ったことから、彼は思いがけず相府の権力者・郭仲翔(グオ・ジョウシアン)が追う幼子を巡る陰謀に巻き込まれていく。子どもを手に入れた裴興は、当初の取引を翻し、その命を守ることを選ぶが、かつての戦友や凄腕の捉刀人たちから追われる身となる。血と暴力が支配する江湖の中で、刃で生きてきた男は初めて自らの意思で戦いに身を投じる。
Amazon Prime Vidboより
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※2026年8月1日時点
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登場人物
・ペイ・シン
山犬(ジャッカル)と呼ばれる賞金稼ぎ
かつては唐王朝の兵士として戦っていた
・リウ・ジェン
朝廷から賊に奪われた荷から出てきた女
朝廷を揺るがす何かを知っており収監されてしまう
・グオ・ジョウシアン
宰相府の汚れ仕事を請け負っている権力者
思惑を持ちリウの知る何かを狙う
・ハン・ルー
ペイのかつての上官で現在はグオに仕えている
ざっくり概要
ここからはいつも通りに途中までのざっくりとした内容を。
混沌しならず者の天下となった世。
そんな世の中で賞金稼ぎとして生きる山犬(ジャッカル)の異名を持つ男ペイ・シン。
彼は運搬中に何者かによって強奪された朝廷に属する財宝、その何者か達を切り伏せ財宝を奪還する。だがその中にあった財宝は生きた女だった。
朝廷が運んでいた1人の女。その女が握っているのは金銀財宝より価値のある秘密。ペイは図らずも大きな流れに巻き込まれることになるのだった。
女を連れて街に戻るペイ。賞金首を女に殺されたため代わりに女を差し出し賞金を半額でももらおうとするが断られてしまう。
そこに現れたヤンという男が女に見覚えのある素振りを見せ、彼女を収監するように指示を出す。
するとペイに自分を殺すように頼み込む女だったがそのまま連れ去られてしまう。
その夜、賭け事で金を全て失ったペイはかつての仲間であり現在は権力者であるグオに仕えているハン達に出会う。そして酔いが覚めたら午子山の荘園まで来るように言われるのだった。
目覚めたペイはインの家で目覚める。
彼女に手当をしてもらうがツケにしてもらい、そしてツケを払うために賞金首を探しに行く。
賞金首を追い詰めるがそこに現れたのはホーリエン・ロウ、墨家の鉄木、蜥蜴の異名を持つ3人の賞金稼ぎ。
獲物を横取りしようとしたのか襲いかかる3人を相手にするペイ。しかし相手の様子を見て狙いは賞金首ではなく自分の方である気付く。
3人のうち蜥蜴を仕留め何とか離脱するペイ、しかし街中でも他の賞金稼ぎに狙われる。そして自分に賞金がかけられていることを知るのだった。
賞金をかけたヤンの元に向かうペイ。
そして自身の追捕は彼よりも上からの命だったことを知る。その原因はあの財宝として捕まっていた女、関わった者に死をもたらすと説明される。
街中で唯一彼女の処遇に抗議していた役人ウー・シャオアンから彼女の素性を知るペイ。
彼女の名前はリウ・ジェン、その名前以外は全て不明の女。
彼女は収監先から謎の集団に連れ去られたと聞かされる。その集団は権力者であるグオの手下だった。そしてグオには謎が多く人を雇い木を伐採し大急ぎで午子山に目的不明の高台を作らせているという。
リウを拷問するグオ。全てを話せば見逃すというが彼の手に噛みつき殺せというリウ。
それを聞いたグオは出ていかれると困ると彼女の足を切断するのだった…
午子山に行るグオの元に訪れたペイ、かつての仲間であるハンによって彼の元に招かれる。
ペイとハンはかつて唐王朝側の兵士として戦っていた。その経歴を評価して忠誠を誓うなら配下にすると言われる。
だがペイは交渉に来ただけと言う。そしてグオに対して狙いは彼女のリウの子供か?と問いかける。
そのカマかけに乗り宰相の生後間もない男児と消えたと説明されるペイ。あくまでそのために働いたというだけと返すグオ。
それを聞きペイは10日後に子供を連れてくると宣言する。望みは自分の自由。そして懸賞礼は撤回され金を貰いリウの子供を探しに行くのだった。
インの元に戻り現在の状況を説明するペイ。子供を守ろうとする母の姿。それを自身の過去の過ちと重ね合わせる。
そしてインに彼女の子供探しのための情報を頼み10日だけ援護すると約束を得る。
情報を集めるイン。その情報を元にペイはとある一家の元に訪れる。
リウは子供と手鏡を託して“子供を迎えにくる”とその一家に約束していた。そこにいた小宝“シャオバオ”と名付けられていた赤子を連れていくペイ。一家から手鏡と食べ物を託されて…
馬を駆りシャオバオを連れてグオの元に向かうペイ。
道中で赤子であるシャオバオの世話に戸惑い苦戦しながらも途中でウーに雇われた同じ賞金稼ぎからグオについての情報の書簡を渡される。
彼の正体は宰相府の執事。卑賤の出で母親の姓を名乗るが実際は宰相の庶子だった。
宰相府の汚れ仕事を請け負っており宰相と正妻の間に実子がいない中でリウとの間に男児が誕生。しかしリウは子供と共に姿を消した。
捜索を命じられたグオだったが跡継ぎの座を狙い裏では赤子の抹殺を企み、満月の夜に赤子の死体を霊丹にして喰らいその運気を己の体に取り込もうとしていた。
グオの元にシャオバオを連れてきたペイ。泣いているシャオバオを渡して立ち去ろうとするが愛馬がその場に留まる。
そしてペイは覚悟を決めてシャオバオを連れ去りインの元に、そして彼女に新しい身分と顔を授けるように頼む。シャオバオの成長を見届けるために。
眠りにつきインによる整形手術を受けるペイ。
その夢の中で子供を切り捨て、そして子を守ろうとした母が自らペイの刃に身を乗り出し命を捨てた過去を思い出す。
その悪夢によって手術が始まる前に目覚めたペイ。そして彼は子には母が必要だとリウを連れ戻しにグオの元へと向かうのだった。
ウーの手引きでグオの元に乗り込むペイ。
ペイはウーにはこの時代で正義を成そうとするお前のような者が必要だと彼を残して乗り込もうとする。最後に本名を聞かれるがペイは今度会った時に教えると言い2人は別れる。
乗り込んだ先に居たのは賞金稼ぎの筆頭“白髪の長老”
雇われた男との戦い。彼は商売命であるジャッカルが何故赤子のために権力者に刃向かうのかそれを知るために、ペイと刃を交えていた。
その戦いの中で過去と今の彼の違いをその信念を知り“白髪の長老”は倒れる。
リウの元に辿り着くペイ。彼女に子供の無事を伝えるがそれを聞いたリウは安心したようにその命を落とすのだった…
失意の中で彼が戻った先で見たのはウーの首。そして彼を斬ったハン達によりペイは刺されてしまう。
それでもハンの仲間はかつての同胞であったペイにトドメを指すのに躊躇するがハンはその仲間すら殺す。
その隙に逃げるペイ、だがシャオバオはグオの元に落ちてしまう。
またしても母を守れず子を連れ去られた。そしてシャオバオが捧げられる儀式は迫る。
母であるリウと正義の中で生きたウーの死。その中で怒りを抱えた“不死身のジャッカル”の牙は確実にグオの喉元に迫ろうとしていた…
義を取り戻す男(ここからネタバレあるよ)
法が及ばぬ世界で泣く者がいる。そんな悪鬼羅刹を義によって切り捨てるそれが盲剣楼シリーズ。
そんな安定フォーマットなのでストーリーはぶっちゃけ毎作予測は簡単で驚きはない(感動はある)
となると主役側の信念や覚悟にどれだけ惹かれるか、悪役の悪辣さにどれだけ引くか。そういったキャラクター性が重要になる…とこういった安定フォーマットな作品に対しては勝手に思っているのが自分。
その中で燦然と輝くのは本作も連なる盲剣楼シリーズの主役。腕の立つ盲目で寡黙でありながら義のために熱い物を秘めて立ち向かう男チョンでしたが、そのスピンオフの主人公である本作のペイ・シンはその日暮らしの退廃的な男。

山犬(ジャッカル)の異名を持つ賞金稼ぎで序盤の戦い振りから粗暴さが目立っている。
そんな男が成り行きからリウという女性に関わったことで懸賞金をかけられ賞金稼ぎに狙われその裏にある陰謀と彼女が守り抜こうとしていた者を知り、世の不条理や己の過去に向き合い、かくて持っていた義のために戦うことに目覚めるというのが彼という人物が本作で語られる流れ。
彼は序盤はマジでやさぐれているんすよね。
その日暮らしな生き方をしていて手に入れた金も賭け事ですぐさま全部失ってしまい、酒にも溺れる。序盤だけならアクションのかっこよさを見せられていなかったら好感は持ちにくい人間です。
そんな中でも序盤から子供のために道化を装って金を取り戻してあげるとか、義に目覚める予兆はちゃんと匂わせているのは本作の丁寧なところ。
そして序盤で助けた女リウに関わったことから預かり知らぬ形で賞金をかけられてしまう。その状況を脱するために彼女が握る秘密を知る。それが彼女が産んだ赤子。
権力者の初めての男児であり、本作のヴィランでありその権力者の卑賤の出である長男の弟でもあるシャオバオなわけですね。
跡継ぎという部分においてはこの赤子が邪魔。それを処分しようとする者と命を捨ててでも守ろうとする母。
それを見てかつて戦争の中で子供を切り捨てその母を切り捨てた自身の過去をリンクさせてあの時の過ちを払拭するように、そして今度こそ守り抜くために己から失われた正義を取り戻していくんです。
この過去と覚悟を取り戻す流れは展開早めですが丁寧。過去自体は後半まで隠していますが、匂わせてはいる。
その中で赤子であるシャオバオを連れ戻す道中で徐々に情が移る。

最初は彼の賞金稼ぎとしての粗暴さ通りにシャオバオの扱いが雑なんですよ。でも連れ帰る道中で彼の過去とシャオバオの愛らしさからか、彼は子供という物に対する母親の想いを理解するかのように賞金稼ぎのジャッカルから義の男ペイ・シンになっていく。
ベタですが赤子に癒されて真っ当な人の心を取り戻していく話ですね。
そういって徐々に義を取り戻してシャオバオと共に生きようという想いを持ち、そして子供には母が必要とリウを取り戻そうとするのですが、彼女は既に限界でこの生存を知って目の前で命を散らしてしまう。
こうやってペイは再び母を守れない男となってしまう、更に追い打ちをかけるようにシャオバオも奪われてあの日の過ちがまた繰り返させてしまうかもしれない。
しかしまだ間に合うのであれば今度は権力者相手であろうと立ち向かう。
正義なき世で己の正義を見失っていた男が再びそれを取り戻し、今まで素手がメインだったのに満を辞して剣を携え最後の戦いに向かう姿は流石にカッコ良すぎて震える。溜めに溜めたからこそという計算というか美学が分かっている構成でした。

そしてかつての上官でありラストバトルの中でハン相手にまた同じように巻き込まれただけの子供と母を目の前で斬られそうになる。
かつての過去、そしてリウの死、2度守れなかったペイですが、それでもこの最後では親子をシャオバオを今度こそ守り抜く。
過去を背負いながらも払拭してたった1人の子を守り抜くために権力者にも立ち向かう義の者が真に誕生した瞬間。
自身にかけられた賞金は相手全てを切り伏せたために払拭されることはなくこれからも賞金稼ぎに狙われる。
それでも子を守り抜こうとした母の想いをたった1人の赤子のために全てを敵に回しても守り抜く覚悟を持った義に生きる男が生まれる瞬間を見れることご出来た。
このように最初は堕落というシリーズのフォーマットから外れていた男ペイが義のために戦うというフォーマットに後からハマっていくのがこのペイ、引いては本作の魅力といえましたね。
母とは子のために命を捨てられる者。ならそんな母のために子のために剣を振るい血を浴びる者がいてもいい。
そんな理屈ではない義と覚悟の生き様が見れる男の浪漫があるからこそ、このシリーズは主役が変わっても魅力が変わらないのだと思いましたね。
相変わらず悪辣、でも今回は役割分担したヴィラン
今回のヴィランは権力者と実務役で分かれている。
権力を持った男グオとそれに仕えておりペイかつての上官であったハンの2人ですね。
その中でグオはいかにも権力者然とした鼻持ちならない感じ。
しかし盲剣楼2作と違うのは悪辣さはあれど人を使うだけのタイプで戦闘面においての実力が一切伴っていない。

だからこそ自分の力でもないのにそれを誇示して威張り、人を不幸に追い詰めていく姿には怒りも増す。そして狂気も孕んでおり、リウの息子でおり自身の弟であるシャオバオを跡継ぎ問題で邪魔とし始末しようとする。
しかもただ始末するのではなくシャオバオが幸運の元に生まれたと占われたためにまだ赤子である子を儀式を行い灰にし霊丹として己の体に取り込もうとする。そして彼を見つけるために当然のようにリウを拷問し、足を切断するなどシリーズ…というかアジア映画特有の容赦のなさは健在。(それでも赤子を狙いリウの足を切断するだけに留まり子供も犬も一族も殺していないだけシリーズ的にはマシかもしれない部類に入るのはこのシリーズの過酷さ故か)
しかしそれがあるからこそ苛立ちはあるので斬られる楽しみがあるのが困ったところ。
実際そこにはちゃんと応えてくれて弱肉強食を謳い人同士を争わせて負けた側を狼に食わせるという悪趣味なことを彼は娯楽としているのですが、最後はペイによって無惨に腕を折られ、リウのように足を切断されて弱肉強食に倣って狼に食われるという気持ちのいいくらいの因果応報な末路を迎える。
今までのシリーズと違って戦闘こそありませんが、死に様だけはシリーズでもトップと言えるくらいの気持ち良さを見せてくれる憎らしさと最期こそが魅力な良いヴィランだったと思います。
逆に実務役であるハン。

かつてのペイの上官であり、ペイに子供を斬らせた張本人でもあります。
何というか彼は過去こそ繋がってこそいますが、個人的には深みはなかったり。
今まで権力と戦闘力が1つに纏まっていたヴィランが分かれたせいかドラマはあるはずなのにどこかアクションだけ担当感があるんですよねぇ。
過去のように親子を斬ろうと再現をしようとするとか色々あるんですが、舞台装置感は否めない。多分それは過去と繋がりがあるにも関わらず過去のペイとハンのエピソードが子供を斬った時しかないからでしょうね。良くしてもらった経験や逆に悪辣さだけがあり反感を持っていたとか、そういうのがあれば良かったのですが、そこだけの繋がりが強いのがより舞台装置感を際立たせていたように思います。
命をかけて戦った自分達は上に行き報われるべきという思想は普通に面白くなりそうだったのでそこだけは残念ですね。こう考えるとやっぱり権力と実力は1つに纏めた方がヴィランと主役間のドラマは強まるような気がしました。
今回のアクションはダイナミック!
このシリーズでは何の心配もしていないのがアクションのクオリティ。
となると楽しみにすべきはどんなアクションが見れるのかバリエーションや魅せ方となるのですが、今作は一言で言うならダイナミック。
とにかく今まで以上に空間を使うのが上手い、盲剣楼の主人公であるチョンは盲目という特性上、街中や屋内戦がメインで空間を使うのも柱などを利用するのが多く格闘戦も見れましたが、達人のように絡めとる感じ。
それに対してペイは最序盤からの戦闘で分かる通りに山犬(ジャッカル)という異名通りに一言で言えば粗暴。

同じ格闘戦でも目が見えるし性格の違いもあってか、バク転やブレイクダンスのような動きなどアクロバティックな物も多く、噛みつきなどダーティな技も多めと豪快さが目立つ。
この映画の中での彼は格闘戦だけで大半を締めており、剣を抜くまでもない格の違いを見せ続けます。
その後は自分に賞金がかけられたことで他の賞金稼ぎとの戦いも勃発。
この相手達が個性ありまくり、弓使いの女、巨漢の棒使い、トリッキーな鉤爪使いと絵に描いたようなわかりやすい個性のチーム。

この敵のコンビプレイが連携と成り立っており美しく、トリッキーに先陣を切る鉤爪使いが攻撃を喰らいながらも翻弄しその隙を弓で射抜く女。そして大振りに一撃を喰らわそうとする棒使い。壁を柱を建物を飛び回り隙間から矢が飛んでくる。しかも弓の方は矢だけではなく弓本体も弦を反動に使って格闘戦するなどバリエーション豊かで見て楽しい。
更に立て続けに長身の男と小人の男のコンビに襲われる。こっちの方は一瞬で終わるのですが見た目だけで個性が成り立っており、出番は少ない連中なのですが賞金稼ぎというこの世界観の広さも感じさせて中ボスとしての存在感は抜群でしたね。
後半では賞金稼ぎ筆頭の“白髪の長老”と屋内での戦闘。
これまでに無かった1対1の達人の戦い。ペイの鉄針と相手の刀の戦い。
盲剣楼同様に同じ屋内の戦闘、同じように空間を広く使うのですが、チョンとは違い全力で走り飛び1つの建物を2人だけで贅沢に使う殺陣が見れるのでやはり趣もダイナミックさも違う。
最後の柱越しの決着も届いた鉄針と届かなかった刀という紙一重の風情があり、達人の散り際の美しさというか命のやり取りでありながら気持ちの良さすら感じる決着でした。
そして最後の戦いですよ。
満を辞して過去に戦争で使っていた装備を取り出して決戦に向かう。当然そこに携えているのは剣。
これまで剣を使っていない中で最後の最後に剣を携えて戦場に赴く、ストーリーでも言いましたが溜めに溜めた美学ですね。

しかもこれまでの格闘戦もキレッキレだったのに剣を取り出した瞬間から殺陣のキレが更に一段上がる。
何というかこの映画の特徴ですが、ペイがかつての義のために戦うにつれて暴から技へと動きが変わっていくと感じているのですが、ここからはそこの極地みたいな殺陣になるんですよね。
中国アクション独特の豊富な武器とワイヤーアクション、これらを駆使して切り結ぶとこれに関しては口で説明しきれないくらいに動きの豊富さも画作りもカッケェので実際に見てくれとしかもう言えない。
自分のお気に入りはトドメを刺す首斬り。飛びながらすれ違い様に切り落とす動作も画も流石にこれはかっこよすぎました。
一段階ギアを上げた殺陣の結末となる最後の相手となるのは当然かつての上官ハン。
“宇宙峰”という殺神白起の剣を操るという由緒正しい剣の話が出てきて、ノリまで急にギアを上げています。
そして盲剣楼シリーズお馴染みエンチャントファイアの使い手は今回はこのハン。かなり自在に火を操るので明確にこれまでとの相手と武器の格の違いを視覚的にも分かりやすく伝えてくれましたね。というかエンチャントファイアはお馴染みなんですね。

彼との戦いはね。もうストーリーの文脈が最大限に乗っていますので、親子を今度こそ救い、その親子が足止めをほんの一瞬した中で立て直し、彼のエンチャントファイアを逆に利用して火花を垂らして視界を奪い、霜血刃というこれまた急に出てきた技で勝つ。ちなみにこの技立て続けに四方八方斬りつけるのですが動きがとんでもないキレで斬り刻むので一見の価値ありますよ。
雑魚複数相手には格の違いを、かつての仲間との戦いでは技量の差を、そして最後の格も技量も上の相手には守る者が持つ信念と魂の違いを。
義を持って戦うこのシリーズに相応しい。そして徐々に義を取り戻す本作らしいアクションのギアの上げ方でしたね。
ラストで…(超ネタバレ)
この映画はペイは賞金をかけられたまま終了します。
その懸賞札を最後に受け取る男は…やはりチョン!

序盤で冷血の盲目男という異名として存在が匂わされていましたが、ラストシーンで登場までしてくれるのは嬉しい限り。
賞金をかけられたペイと賞金稼ぎであるチョン。
チョンとペイ。義に生きるこの2人が将来出会いこ交わった時にどんな化学反応が起きるのか。
切り結びその命の果て果てまで行ってしまうのか。それとも背中を託せる間柄として共闘して剣を振るうのか。その将来が楽しみでしょうがない。
何よりアクション映画としてとんでもないアクションが見れる予感に既に震えております。
少し気になるのはもし交わる時チョンの時系列がどこなのか。無明の執行人の後なのか違うのかであの作品の後の彼がどうなったのかハッキリするのでそこも含めて楽しみですね。
まとめ
最初からフォーマットにハマっているのではなく、後からフォーマットにハマる形にしてしっかりと差別化をしながらシリーズらしさのあるスピンオフだった1作。
既に完成された男ではなく、徐々に取り戻していくという成長型に近い構成にしたので、チョン以外の主役という重責の中でしっかりとペイは主役らしさを発揮し、将来の2人の邂逅が楽しみになれる1作になっていたと思います。
これが失敗しているとチョンと出会ったらさっさと斬られちまえとしか思えなくなるので出会って共闘してほしいと思えるのはそれだけペイがいい主役だったという証拠ですね。
アクションもちゃんと差別化してダイナミックさ重視になっているのも良かったですし、最後の剣のキレも堪んねえ!
安定フォーマットなストーリーの中でしっかりと本編主人公とのキャラクター性もアクションの方向性の差別化も成功。スピンオフとして見るとかなり優秀な1作だったのではないでしょうか。
いつもこのシリーズでは言っていますがシンプルにアクション目当てで見ても損はしないのでやはりオススメのアクション映画だと言わせてもらいます。
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