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製作国
カナダ
監督
ニール・ブロンカンプ
脚本
ニール・ブロンカンプ
出演者
カーリー・ポープ
クリス・ウィリアム・マーティン
マイケル・ロジャース
ナタリー・ボルト
キャンディス・マクルーア
テリー・チェン
人の闇に仮想空間で入り込み真意を知ったら、
今回はそんな映画デモニック(原題:Demonic)の感想です。
ジャンルはホラーで上映時間は約105分です。
この映画の見どころ
・ちょっと突飛な設定なものの仮想空間内での失われたはずの交流
・後半でそっちに行くのかと変わるノリ
目次
あらすじ
故郷に戻って来たカーリーは、絶縁していた母アンジェラが、全身マヒで昏睡状態になっていると伝え聞く。看護師だった母は、老人ホームに放火し大量殺人を犯して逮捕され、カーリーは母との関係を断ち故郷を離れたのだった。カーリーは、母が保護されている医療新興会社セラポールを訪れる。そこには、全身傷だらけで眠る母の姿があった。医師のマイケルから、「シミュレーション」と呼ばれる意識へと繋がる仮想空間に入り、母を呼び戻して欲しいと頼まれる。カーリーは半信半疑ながらも仮想空間へ入ると、確かには母そこにいた。しかし、母は久しぶりに再会したカーリーに「ここから出ていけ。あなたを危険にさらしたくない。」と告げる-。
Amazon Prime video紹介ページより
登場人物
・カーリー
アンジェラの娘
母の起こした事件により町からは疎外された
母に思いをぶつけるためにセラポールでの治療に参加する
・マーティン
カーリーの幼馴染
アンジェラの事件後の発言で精神障害と思われ疎遠に
・サム
カーリーの幼馴染
アンジェラの事件後、カーリーに寄り添ってくれていた友人
・アンジェラ
カーリーの母
殺人事件を起こし刑務所に収監されていたが、自傷行為などを行いセラポールで治療を受けている
・マイケル
セラポールの医師
・ダニエル
セラポールの主任研究員
作風
仮想空間がメインと思いきや
宣伝などだと仮想空間がメインのホラーに見えますが意外とそうではないです。
ヒントなどで重要ではあるものの母と子の交流をメインとして使う感じでしたね。
実際には現実がメインでしかも戦闘集団が出るという思いの寄らないノリも出てきて個人的にはワクワクするノリでした。
字面だけだと変な映画かと思いますが、そこのノリは長引かないので結局真面目ではある映画です。
ホラーとしては怖さよりは不気味さが前面に出てる感じで途中での悪夢や幻覚などが特にそこら辺顕著ですね。
途中の予想してなかったノリとワクワクする設定と合わせて一粒で2度美味しい作風でした。
ストーリー感想
後半からの路線が楽しくてしょうがない
この映画、自分的には後半からの路線がとても大好きです。
最初はしっとり目なホラーなのかなと思ったら途中で出てくる設定から、
おいおい随分自分好みの楽しい展開になってくるじゃねえかと自分のテンションが全然変わりましたね。
最初の方は殺人事件を起こして疎遠になった母の治療への協力という真面目かつ静かなストーリーなのですが、
よく考えたらこの患者の頭の中に仮想空間で入り込むという未来すぎる治療法の時点で後半のノリは決まっていたと言っても良かったのかもしれませんね。
とはいえ後半に意外性を感じるのは前半にちゃんと人物やホラー描写をしているから、
主役のカーリーの境遇やそれを取り巻く幼馴染達など過去の母アンジェラが起こした事件による影響など、
これらはしっかり描写されておりちゃんとジメッとしたホラーな雰囲気を作り出しています。
こういうタメがちゃんとあってこその後半ですよ。
特にカーリーのアンジェラに対しての複雑な心境なんかはベタっちゃベタですけど上手く出来ていました。
嫌いと伝えるために治療に協力して仮想空間で会いに行き、
そこからの母の言葉と後半に通じていく思いは本当にベタなんですけど良かったですね。
やっぱりこういうちゃんとしたストーリーラインがあってこその楽しめる映画だなと思います。
幼馴染達との交流も重要で白眼視されていた頃に支えてくれた友人、事件の後に妙なことを言い続け疎遠になった友人。
カーリーにとってこの2人もホラーとして、支えとして機能してました。
ホラーとしては序盤は不安にさせるよう不気味さがしっかり作られており、
仮想空間で出来た傷が現実でも出来たり、他にも母の異常行動なんかも不気味で良かったですね。
要は悪霊の仕業なんですがどこで取り憑かれたのかやどういう特性なのかなど、
ここら辺の設定もちゃんとしているのもこういう映画ではやっぱ大事ですね。
総じて序盤はちゃんと不気味なホラー映画になっていて、これが後半の設定へのギャップに繋がっている映画になっていました。
ネタバレありな後半感想
一気に楽しい設定が溢れてきます
母が悪霊に取り憑かれたと思われる場所を聞きたがる治療を担当しているセラポール社。
何と彼らはバチカンの秘密組織でエクソシストの集団ということが明らかになります。
急に頼もしすぎる存在が登場でもうワクワクが止まりませんよ。
仮想空間にドロップ出来る未来的な装置も秘密組織が悪魔の居場所を知るために開発したというのならもう未来技術でもしょうがないです。
そんな面白い設定が明らかになってもちゃんとホラーも忘れずに挟み込むのがこの映画。
狙っている対象に幻覚を見せる悪霊がサムにエクソシストな動きをさせる幻覚を見せるという、多分ここがこの映画最大のホラー表現だと思います。
そしてサムが行方不明になったのを確認したカーリー達、
カーリーが幻覚を見たのを確認した悪魔祓い達がそれぞれ装備をがっつり整えてそれぞれ乗り込むという、
装備が銃とナイフという現代装備なのも合わせてもうここだけ完全にジャンルが変わっています。
ここはおいおいどんだけワクワクさせてくれるんだ!ってなもんですよ。
実際には悪魔祓い達はほぼ全滅していてこういう楽しい時間はすぐ終わってしまうのですが、
それでもセラポールの1人がカーリーにバチカンに1000年もの間伝わる聖槍というかっこいい設定の武器を託すなどしっかり楽しさの名残は残してくれます。
何気に善人ばっかなのはこの映画のいいところだなと思います。
それが理不尽に壊されるのもホラーとしての醍醐味ですしね。
意外と出番少なめな仮想空間もここで最後の出番。母との最期の交流に使われます。
この映画のストーリーとして最もしっかりとした軸であるため感情移入もしやすい流れでしたね。
最期の交流は物悲しい結末に終わってしまいますが序盤から描写を積み重ねただけあってやはり心に残るシーンとなりました。
安易に助かるのではなく生を諦めるだけの理由と時間が積み重なっていたのはどうしても理解できてしまいますしね。
後はもう悪霊との消化試合みたいなものですが、ここは正直もうあんまり怖くはないです。
悪霊自体がどう殺すのが好みかなど意外とノリのいい会話したり、
決着自体が簡単に予想のつくものだったりなど緊張感に欠けてしまう部分があるのでしょうがないですね。
ここら辺はホラーではなくサバイバルと復讐に重きを置いてそうなので怖くない方が正しいとは思います。
予想のつく決着ではあるんですが、燃やすのが好きな悪霊が燃えて死ぬというのはちょっとお洒落な感じで、
やっぱり後半はノリやジャンルが変わっているんだなぁと改めて感じる決着でした。
この手のホラーにしてはEDも不穏な感じのない終わり方であり、犠牲はあれど比較的爽やかに終われたのも路線変更のおかげですね。
賛否は分かれそうですが、この後半のノリは楽しくラストも綺麗に終わるので個人的には楽しめるストーリーでした。
仮想空間について
この映画の独自の要素であり、最初はこの中がメインのホラーと思っていた要素です。
いざ蓋を開けてみるとホラーとしてはそこまでメインとして使われておらず、
あくまで悪霊についてのヒントと親子の交流について使われる程度に止まっていました。
重要ではあるものの予告などて予想するほどの強い要素ではなかったですね。
仮想空間内での映像表現は昔のMMO思い出すような感じでオタク心には懐かしさを感じるものだったんですけどね。
ホラーとしては
ホラーとして怖いのは恐らく中盤までだと思います。
後半は楽しさが勝る要素があまりにも多いので恐怖感も緊張感はないと思います。
ただ中盤まではしっかりと気味の悪さを積み重ねてくれるのでホラーとしてダメと言うほどではないです。
直接的に怖さを与えてくるのがサムを使われた幻覚くらいでちゃんと雰囲気で怖がらせてくるのは評価高いです。
後半からはもう設定がアクションものの設定がたくさん出てくるのでホラーとしてはもう見れないですね。
肝心の悪霊も「人を燃やすのが1番いい」や「あいつの体を手に入れた後にお前を燃やす」など土着で長いこといた悪霊の割に俗な感じで会話してくるので、
それはもうアクションものの悪役の会話の内容なんだわと思って全然怖さはないです。
全貌が分からない段階が1番怖いというよくあるといえばよくあるホラーの構図でしたね。
それでもここまで後半から怖くなるのも珍しいとは思いますが。
印象に残ったシーン
母アンジェラとの別れのシーン。
この映画のストーリー軸となっているため、この最期は印象に残りましたね。
最初は嫌いということを伝えるためだけに会いに行くカーリーもアンジェラが悪霊に憑かれたという事実を知り、
アンジェラを名前ではなく母として呼び仮想空間に入り連れ戻しに行こうとするなど、この2人の関係によるストーリーは軸がしっかりしていました。
助け出そうとしたカーリーに対してのアンジェラの決断もこの軸があってこそだと思います。
娘と和解しても現実に戻る勇気はもうなく望みはこれ以上苦しまないことと語り、
カーリーの幸福を望み消えていくのは事件の規模や経過した時間を考えると納得せざるを得ない理由でした。
最後に通じ合えてもベタに力を貸して犠牲になるというものではなく、
ただただ無情に終わってしまうのはこのストーリーの美しさかなと感じました。
まとめ
後半にホラーとしてはちょっと緊張感がなくなる設定や描写が出てきたこの映画。
メインのストーリーラインはホラーとしてではなくホラーを使った親子の物語と思って見た方がしっくりくる内容でした。
後半の展開の期待感もホラーからは外れてしまいますが、別の面白さが提供されるので1粒で2度美味しい映画となっていますよ。
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