【映画】ブロート ~河童は、もう中にいる~ 感想 ジャパニーズホラーリスペクトが伝わる

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製作国

フランス、アメリカ、日本

監督
パブロ・アブセント
脚本
パブロ・アブセント
出演者
ベンジャミン・マッケンジー
ボヤナ・ノヴァコヴィッチ
ソーヤー・ジョーンズ
マルコム・フラー
ケイン・コスギ

 今回はアマプラにて鑑賞の映画、ブロート ~河童は、もう中にいる~(原題:Bloat)の感想。

 河童と言えば日本、つまり舞台としては日本にも移る映画、ということでハリウッドとジャパニーズホラーのなんちゃって融合が楽しめそうと思い鑑賞に至った次第。

 その結果としては実にジャパニーズホラーリスペクトなストーリー。派手さはないものの湿度の高いいやーな物語が楽しめました。

 ジャンルは当然ホラーで上映時間は約86分となります。

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あらすじ

イスタンブールに駐留し、家族と離れて暮らす軍人ジヤック。休暇で日本を訪れた妻ハンナと二人の息子を、思わぬ事故が襲う。湖で次男カイルが何者かに水中へ引きずり込まれ、溺れかけたのだ。一命は取り留めたものの、帰国後のカイルは水を異様に求め、奇妙な言動を繰り返す。やがて一家の周囲では、説明のつかない現象まで起こり始める。オンライン通話や監視カメラ越しに異変を目撃したジャックは、調査の末、人を水底へ引き込み魂を奪う妖怪「河童」の伝説にたどり着く。息子の内に潜む邪悪な存在が家族をのみ込む前に、遠く離れたジャックは世界を隔てる距離を超え、未知なる恐怖へ立ち向かう決意を固める。

Amazon Prime Videoより

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登場人物

・ジャック

軍人

娘を死産で亡くして傷心する中で家族旅行を提案するが任務により1人だけ行けなくなってしまう

旅行先で異変が起きた息子カイルを救うために遠くから情報を集めて奔走する

・ハンナ

ジャックの妻

死産で亡くした娘エバのことを引きずっており、カイルの異常な行動でもう子供を亡くしたくないと焦燥していく

・カイル

ジャックとハンナの息子

旅行先で川に溺れて奇跡的に助かるがその後異常な行動を繰り返すようになる

・スティーブ

カイルの兄

カイルの異変に気づき父ジャックと情報のやり取りをする

・ライアン・アオキ

ジャックの沖縄所属時代の同僚

ジャックの頼みで彼の代わりにカイル達の元に向かい事態解決に協力する

クライマックス直前までの内容

 ここからはいつも通りに後半までのざっくりとした内容を。

 3人目の子の死産により傷心していたジャック。彼は妻と2人の子と共に心の傷を癒すために東京に家族旅行に向かおうと提案した。
 だが計画の最中で中東地域の戦闘激化により、急遽休暇は取り消しになり彼だけは基地に帰投することになってしまう。

 妻ハンナとカイルとスティーブ2人息子達だけで東京旅行に行きその様子を楽しそうに聞くジャック。
 その時騒ぎが起きてハンナが息子カイルの名前を呼んで走り出す。それはカイルが川で溺れた騒ぎだった。

 奇跡的に助かり日本で報道されるカイル、だがその一方で少年4人が溺死したニュースも流れていた。

 更にその救助の様子が死亡事故としてインスタに流されており騒ぎになっており、スティーブと通話するジャック。事故の時に何があったか聞くと急にカイルが消えたという。

 ハンナの友人で看護師ユリコのおかげでカイルの様子は大丈夫と聞き安堵するジャック。ハンナはカイルをセラピストに見せると言い賛成する。そして改めてカイルの救助の動画を確認すると、カイルは息を吹き返す瞬間に緑色の液体を吐き出していたのだった…。

 カイルは生きているためフェイクニュースと憤るジャック。情報の出所を聞くと“ジオロケーション”と呼ばれるアカウントから、確認すると所謂ドッキリ系で悪質な映像を流していた。

 ハンナと通話をし、カイルの様子を聞くと以前は食べなかったキュウリなどを好んで食べ始め、その一方で塞ぎ込んでもいるという。
 その時カエルに執着異常な行動を見せるカイルと同時に軍から敵からの攻撃の報告が同時に入る。静止しようとしたスティーブの腕を噛んだカイル。その時彼らの様子を映した映像が激しく乱れる。

 仲間に指示を出した後に子供のPTSDについて調べるジャック。そしてカイルのセラピストのシンジ・イシカワに連絡をして話を聞くのだった。

 異常行動が続き改善が見られないことを尋ねるが死にかけたことや幼いことが理由と説明される。そしてフライトによるストレスを避けるために近々帰国する予定をやめてしばらく日本に滞在するように提案される。
 カイルのカウンセリングの内容が送られて確認するがまたしても激しく映像が乱れる。そしてその乱れからかカイルの顔に別の生き物のような顔が被っているように映っていた。

 子供の怒りについて調べるジャック。そこで出てきたダークウェブが検索に出てきて普通ではない事態からそれを調べるためにメールアドレスを入力する。

 カイルの誕生日が近づき何が欲しいか尋ねるジャック。ドローンと虫に興味があるとハンナから返信が来て丁度ドローンを注文しようとしていたと返す。虫についてはよく分からずカイルのインスタアカウントを検索すると大きなムカデの映像を投稿していた。

 8月9日誕生日当日。
 ジャックが送ったプレゼントが届いた同時にカイルからはジャックにインスタのメッセージが届く。日本語で…

 カイルが日本語が分かるのかハンナに聞くがそんなわけないと返される。
 ジャックが送ったプレゼントのドローンを受け取ったカイルは1人湖に行ってしまう。ドローンを飛ばして墜落しそうになった時ドローンを追いかけてカイルが湖に泳ぎに入ってしまう。そしてドローンの映像が途切れジャックはスティーブに電話をするようにメッセージを送る。

 スティーブと電話を繋ぐジャック。様子のおかしいカイルについて話す2人はこの民泊の幼児監視用のモニターを見てカイルの行動を確認する。送られてきた映像にはきゅうりを食べ続けるカイル。そしてベッドの下には大量の食べかけのきゅうりが転がっていた…

 ジャックはハンナに急ぎ連絡してカイルの変化は事故のせいじゃなくセラピストは信用出来ないと訴える。だがその場にいる大人は自分だけと跳ね除けられてしまう。
 その夜お互いに謝るジャックとアンナ。死産で湖に弔った娘エバのことを思い出しもう子供を失いたくないと本音を吐露して…。

 ダークウェブからの申請の承認が届く。そこには怪奇現象や陰謀論などが多数語られていた。

 デジタル世界に存在する超常現象の解明を語っているスレッドを見るとデジタル機器は異界への入り口となり霊体は両方の世界を自由に行き来する、歪んだ画像や乱れた映像、霊体がデジタル領域に姿を表す理由はなどと書き込まれていた。それらを見てカイルへの疑念を膨らませていくジャックは同僚のライアン・アオキに連絡を取るのだった。

 次の日ハンナからスティーブが夜のうちに行方不明になったことを知らされる。すると昨夜に送られていたスティーブからのカイルの行動を確認するという連絡を見つけるとスティーブの位置情報をハンナに渡し、送られてきた映像を確認する。

 それは森の中を歩きそして何かを見つけ逃げる映像。その時ハンナからスティーブは無事で大したことないという連絡が入る。森でスマホを失くして探していたと。

 スティーブに説教する両親。そしてハンナから離れてひっそりと通話を続けるジャックとスティーブ。
 昨夜の動画と不気味な子供達と思われる存在について話し合い、ジャックは勝手に動かないように釘を刺す。その代わりにカメラを送ってもっと設置してカイルの異常な行動をハンナに理解してもらおうとする。
 だがスティーブがハンナがストレスでまた薬を飲み始めたかもと伝えられ一瞬驚くがそれについては自分が話すといい、そしてライアンを助っ人として送ったことを伝えるのだった。

 ライアンから通話が入り、家族の無事を確認して欲しいと頼むジャック。そしてスティーブからは家中にカメラを取り付け終えたという報告が入る。

 カイルとビデオ通話するジャック。その途中で映像が奇妙に乱れ始め途切れる。

 カイル達の元に向かう途中のライアンと連絡をして彼からもしかしたらカルトの影響の可能性もあるかもしれないと僧侶に相談してみないかも提案されるそして事故現場の川を調べることも。
 ライアンとの会話の途中にハンナから通話が入り受け取ると焦燥したように帰国すると言う。その裏ではカイルが帰りたいと叫んでいた。その場に留まらせるために休暇を取ったので合流すると嘘を言い、カイルとも話すが彼は暴れ回りジャックの言葉は届かないのであった。

 ライアンから送られた映像を確認するジャック。そこには不気味に歪んだ映像と何かが蠢く姿があった。そしてダークウェブにそれを貼り付けて質問する。

 ライアンが住職に会い映像に映った物を見せるとそれは河童だと言う住職。事故の後にカイルが河童の好物であるキュウリが好きになったことも一致していてその疑念は確信に変わっていく。

 しかしカッパは子供の命を奪うことはあっても取り憑くことは珍しいという。住職は解決策として15年前に別の僧侶がアメリカ人相手に対処した事例を持ち出す。その僧侶に話を聞こうとするが5年前に亡くなっており、その時のアメリカ人の親子は2度と姿を見せなかったので解決したと思われる。住職からは急がないとカッパに魂を蝕まれて戻れなくなってしまうと言われる。

 改めてカッパの画像と映像を見比べるとよく似ているように見える。そして15年前の事例について調べるジャック。

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 ライアンからは河童は頭の皿が乾くか火で死んでしまうという情報が送られた後にジャックはダークウェブで取り憑かれた少年について調べる。そこには悪魔祓いは役に立たずに息子に火をつけたが失敗したというスレッドが。そしてその情報を照らし合わせて検索すると東京で息子に火をつけた父親の事例が。その日付は15年前だった…

ちゃんとジャパニーズホラー感ある映画

 序盤から死産した娘。そして傷心のために行った東京の川で溺れ奇跡的に助かった息子と湿度のある展開。そして帰ってきた息子の様子がおかしい。食の好みが変わり、塞ぎ込み、溺れたにも関わらず水を好むようになる。異常行動の中で徐々に確実に何かに侵食されて病んでいく。

 この湿度のある不穏さと不気味さでジャパニーズホラー的な掴みは完璧でした。

 そこから息子カイルの異常行動が精神的なものなのか。それとも取り憑かれてしまったのか真相を探っていくわけですが。

 これで面白いのはそのシチュエーションで主人公のジャックは軍の任務で一緒に旅行に行けなかったことで1人だけ家族から離れたところでその異常を見ることになる点。

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 家族として当事者でありながら俯瞰したもどかしい形で携わることになり、そして子供を失った傷心旅行先の事態ということでその場にいる妻のアンナが焦燥感で子供をもう失いたくないと大人でありながら判断を冷静にしきれないため頼りきることは出来ずに離れていながらジャックが背負って対応するしかない。冒頭の娘の死産がここで生きてきてしまうのですね。

 その中でジャックがダークウェブを使ったり友人のライアンの協力で情報を集めて真相を解明しようとする。

 で、そうなるとジャックは主役なのに現地にいないからこそ本人が霊的なことに直接巻き込まれずに怖くないじゃんとなりそうなんですが、そこは工夫しておりこの映画の霊はダークウェブ情報となりますが、デジタル機器を移動して影響を及ぼす“かも”という設定があり、ジャックはカイルの携わる映像で度々映像の乱れや画像の違和感を突きつけられるんです。

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 この映像の乱れは中々に不気味で昔ストレンジ・ネイチャーという映画の感想でも言いましたが、人というのは体にあるはずの物がなかったり逆に増えていたりすると本能的な恐怖を感じやすい物。この映画の映像の乱れもそれに近いものがあり、直接的な被害を受けない離れている立場ながら恐怖を与えるにたる表現でした。

 しかも真実を追う過程で出てくる河童という日本人的には馴染みがありながらもこの映画の河童独自の展開や設定には寒気を感じる。

 15年前にジャック同様の目にあい最終的には息子を殺すしかなかった父。彼から聞いて明らかになる設定(というか推測)なのですがこの映画のカッパは元人間。だからこそ生きている人間の体を奪って生きようとする。そして徐々に侵食して魂を染める。

 これらの情報を見ると分かる通りに時間が経てば経つほど取り返しがつかなくなるという設定。

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 しかしジャックは離れているが故にやれることは限られてしまう。要は全てが後手に回ってしまうとまずい話なんですよね。だからこそ現場にいないという構成なんでしょう。

 最終盤が特に顕著でその場にいらないが故に現場視点なら徐々に侵食しているはずのいきなり事態が進んでいたりしていて妻のハンナが手遅れになっている。ケビン・コスギ演じる協力者のライアンもあっさりとやられてしまいようやくジャックが現地に行った時にはもう手遅れに近くなっている。

 なら取る手段はもう1つしかなく、家を燃やしてカッパを殺し、15年前の親子と同じ轍を踏むしかない。現場におらず過程全てに携われないが故の話の作りで見事だったんじゃないでしょうか。

 ホラーとして激しい音楽もなくジャンプスケアなどには一切頼らずに雰囲気だけの恐怖で突き進む。
 河童に近づくと映像が乱れるというのも分かりやすい表現で身構え出来るのも良かったですね。

 全てが終わった最後の軍法裁判については死亡したハンナ以外の家族がジャックを庇うのですが、そこにはちゃんと生きていたカイルも。

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 彼もジャックは庇うのですが、その映像は乱れていて…実に王道な湿度のあるジャパニーズホラー感強めな物語でした。

河童についてちょっと考察

 超短いですが、この映画の河童についての考察。

 本作の河童は少なくともカイルや15年前の子供に取り憑いたのは元人間という設定。

 その元人間は何なのかと考えるとやはり冒頭で死産になった娘エバは気になる部分ですよね。

 この死産となった娘エバ。この子は後に湖に骨を撒かれて弔う描写があるのですが、世界という物は水で繋がっている。わざわざ死産と湖に弔うこの2つの描写を入れて、そしてカイルが今回狙われたことを踏まえるとやはり河童はエバだったと考えるのが自然な気もします。

 やはり両親の元に行きたいという思いなどがあってもおかしくないですし、それなら家族を狙えばすんなり行ける。

 しかし0歳にしては悪意が強め。無邪気さのある振る舞いでもない。なのでもっと踏み込んで考えてこの河童はエバが混ざった複数の元人間だったのではないかなと。

 動機はエバ、しかし行動にはもっと他の悪意や無念が混ざっている。ここら辺がわざわざ入っている描写からの自分の考える自然な落とし所と考えております。

まとめ

 ジャパニーズホラーリスペクトを感じるホラー映画でした。

 題材が河童、舞台は日本。そして話の展開はモンスターパニックでもなく徐々に湿度高めに侵食する恐怖。更に言えば日本人の喋り方も全然変な訛りなくちゃんと日本語イントネーション。

 相当拘りが見える作りで話の内容や恐怖以上にちょっとした嬉しさがありましたね。

 ホラーとしてもその場にいれないからこその事態の悪化などよく考えられた構成。オチに関しても実にホラーとしての王道でニヤッと出来る人は多いと思います。

 ただ派手さはないので山がないと評価する人も間違いなくいるでしょうね。

 ただ自分としてはお気に入り。ここまでリスペクト感じるなら判官贔屓もしてしまうってもんですよ。

 それにしてもケイン・コスギは洋画に出ると毎回変な使われ方してますね。

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