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製作国
イタリア、フランス
監督
ダリオ・アルジェント
脚本
ダリオ・アルジェント
フランコ・フェリーニ
出演者
イレニア・パストレッリ
アーシア・アルジェント
マリオ・ピレッロ
マリア・ロザリア・ルッソ
今回は盲目の女性を襲う殺人鬼の恐怖を描いた映画ダークグラス(原題:Occhiali neri/Dark Glasses/Black Glasses)の感想。
盲目という設定におけるドラマは弱いですが、この映画の特筆すべき点は古典的なホラー演出。
今の時代では逆に新鮮に映りそうなこの演出群は間違いなく一見の価値ありと断言出来るような出来ないようなそんな演出です。
正直古典的すぎてグロも強めなんですが、ノスタルジーを感じたい方、昔の演出に興味がある方なら必見ですよ。
ジャンルはホラーで上映時間や約85分となります。
目次
あらすじ
イタリア・ローマで娼婦ばかりを狙った猟奇的な連続殺人事件が発生。その4人目のターゲットにされたコールガールのディアナもまた殺人鬼に執拗に追いかけられ、ある夜、車を衝突させられ大事故に遭い、一命は取り留めるも両目の視力を失う。同じ事故で両親を亡くした中国人の少年チンとディアナに絆が生まれ、一緒に暮らすこととなるが、サイコパスの殺人鬼はその後もしつこくディアナたちを殺害しようとつけ狙う。
Rakuten TVより
ダークグラスを配信している配信サービス
※2023年10月21日時点
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登場人物
・ディアナ
娼婦の女性
仕事帰りの夜に殺人犯に襲われ、車で逃げた際に犯人にぶつけられ巻き込み事故を起こし盲目となってしまう
結果として親の命を奪ってしまった少年チンを匿い交流を深める
・チン
ディアナと犯人が起こした事故に巻き込まれた少年
事故の際に父親を失い、母親は意識不明の重体となり養護施設に入れられる
謝罪に来たディアナの家に行き彼女と交流を深める
・リータ
歩行訓練士の女性
ディアナの担当となり彼女を親身にサポートする
・ネレア
ディアナの盲導犬
勇敢な犬で指示されたら攻撃することも厭わない
・アレアルディ
警部
ディアナの事件を担当する
・マッテオ
チャットで知り合ったディアナの客
ブリーダーをしており、臭いが強い
盲目の女性を襲う殺人鬼の牙
娼婦であるディアナが仕事の夜に殺人鬼に襲われ、カーチェイスの逃走の果てに追突されて事故にあい、
盲目になるというシチュエーション作りから始まるストーリー。
犯人の方には何も思想ぶったもの物もなく正しく理不尽な目にあうというホラーですね。
ホラーだからこそ許される展開ですね。
少年との交流
そんな中でストーリーの軸となるのは盲目になってからの少年チンとの交流。
彼とはディアナが犯人に襲われてカーチェイスとなった際に犯人に車をぶつけられその巻き添え事故で両親が犠牲になってしまうという、最悪なスタートの関係性となっています。
正直なことを言うとこんな最悪な関係性のスタートの割にはそこまで大きなドラマがあるわけではないのですが、
他にそれらしい軸がない以上はこれがメインとなるのは間違いないです。
理由としては何と言ってもチンが懐くまでがかなり唐突で早いのです。
最初会った時はすごいつっけんどんな態度なのにその5分後には周りにいじめられているのをディアナが助けてもう彼女の家に居着くとスピード展開なのですから。
ここら辺がこの映画の勿体無いところで後天的に盲目になったなら普通は周囲の人間や盲導犬の支えなどでドラマを作るものなんですが、
この映画の場合はいつの間にか絆が出来ている感が否めなかったですね。
家族を失った子と結果として奪ってしまった女性の絆というのは美味しい要素なのでここはもっと深掘りして欲しかったかなと。
というか後半に助けてくれるリータやネレアとの絆ももっと欲しかった。
なので人物表現というものは少しおざなりなストーリーではありましたね。
犯人について
そしてホラーなのでもう1つの軸となる犯人からの追跡、ここの犯人の行動は少しチグハグに感じてしまいましたね。
生き残ったディアナに執着して再び襲いかかってくる流れなわけなんですが。
普通なら最初の襲撃の際に顔を覚えてられているかも?とかで追っかけてくるものですが、
この映画の場合は最初に襲われた時にはディアナは相手の顔も見ていませんし目撃できたのは犯人が乗っていた白いバンだけ。
そして犯人はまさかの白いバンはそのままに行動すると警察の追跡を全然気にしておらず、
ディアナのアパート前で堂々と警察を殺害したりするなど(ちなみにここの警察の迂闊さと死ぬまでの早さはすごいです。)
最初はバンの色を塗り替えていたのにここに来て全くそこら辺を気にしないという支離滅裂な行動をします。
こういう方が怖いっちゃ怖いのかもしれませんが。
犯人の正体はディアナが盲目になったという作劇的な都合を考えると自然と最初からこの人だなと目星はつくと思います。
目が見えないならそりゃ臭いから当てますよね。
といっても最初から目星がついたところで別に犯人が日常で出番があるわけではないので推理の体は成していないのですが。
彼の最期は彼の仕事と相手を盲目にしたが故に手に入れた存在、この2つからのしっぺ返しのようでここまで残酷表現にする必要はあるか?とは感じたものの皮肉が効いているのはいいと思いましたね。
盲目の意味
この映画は正直犯人当てや人との交流という面ではあまりディアナの盲目という部分は活かされておりません。
ただホラーらしく後半の展開では盲目故の怖さというのは表現できておりました。
犯人に居場所がバレて正直なところ長々とチンと共に追いかけられるのですが、
ここでの盲目故の焦燥感の表現、これで初めて盲目を活かしているなと思えました。
チンと共に行動するのですが、何も見えないことによる焦燥感はもちろん、彼とはぐれた時の孤独さ、折角銃を手に入れても撃ったところで当たらない絶望など、
人に頼らざるを得ないが故の感情表現は演技含めてかなり良かったですね。
何気に冒頭のディアナのこれからを示唆しているかのような日食もいい表現だと思いました。
古典的なホラー表現
この映画のホラー表現はめちゃくちゃ古典的です。
もはや懐かしさを感じるレベルでタイトルにも書きましたが今の時代なら逆に新鮮に映りそうなレベルです。
ちなみに結構グロめです。
ねっとりと人の死に様を描くのに特化しており、最初の殺人ではワイヤーで切った首から血が吹き出す様をじっくりと映すなど、
うーん、懐かしいと思わず唸ってしまうくらいですよ。
犯人に襲われる夢を見るところとか今時こんなことやってくれるんだと笑えます。
しかもディアナが娼婦というのもあり、無駄にエロい用語が飛び交ったりなど、昔のエログロホラーの様式となっています。
そして何より古典的かつ笑えるのが後半の犯人から逃げる際に川で出会すミズヘビの集団!
もう全く本筋には一切関係ないピンチ、しかも謎に長く描写、更にはなぜかディアナの首に巻き付くなど、
これは完全にやりたかっただけ感があって最高に笑えました。
ラストの犯人の死も大分悪趣味に描写しておりますし、
盲導犬団体に怒られてしまえよwと笑えるほど。
この古典的なねっとりさを今の時代の映像でお出しされる、これだけでこの映画には相応の価値があるなと思える表現の数々でした。
まとめ
懐かしさがたっぷりと詰まっているホラーで楽しかったです。
後天的に盲目になってしまった女性という要素からの人間ドラマとしては物足りない部分がありましたが、ホラーとしては古典的な演出が堪能出来て楽しかったです。
この映画はホラー映画なので後者がしっかりしていればそれで十分と言えるでしょう。
何よりこの古典的な演出、今の時代の映像でこの演出群を見れるのはある意味貴重なのは間違いないので興味がある方は是非見てみましょう。
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